能登地方に本社のある企業は4075社 大手の生産拠点の一部も地震の影響
令和6年能登半島地震のあった能登地方に本社のある企業は4075社に上り、売上高合計は1兆3000億円規模に上ると帝国データバンクが発表しました。そのほか、大手企業の生産工場も立地しているため「能登地方や北陸全体からの部品供給などの停滞や遅延が今後次第に顕在化するとみられ、全国規模で影響の確認が求められる」と指摘しています。
令和6年能登半島地震のあった能登地方に本社のある企業は4075社に上り、売上高合計は1兆3000億円規模に上ると帝国データバンクが発表しました。そのほか、大手企業の生産工場も立地しているため「能登地方や北陸全体からの部品供給などの停滞や遅延が今後次第に顕在化するとみられ、全国規模で影響の確認が求められる」と指摘しています。
目次
帝国データバンクは以下の市町村に本社を置く企業について2023年11月末時点のデータをもとに調査しました。
石川県:七尾市・輪島市・珠洲市・羽咋市・かほく市・津幡町・内灘町・志賀町・宝達志水町・中能登町・穴水町・能登町
富山県:氷見市
すると、能登地方に本社を置く企業、計4075社、売上高の合計は1兆3018億円、従業員数は4万9728人に上ることがわかりました。市町別は以下の通りです。
市町村 | 企業数(社) | 従業員数(人) | 売上高(億円) |
---|---|---|---|
氷見市(富山県) | 596 | 5557 | 1309 |
七尾市(石川県) | 705 | 11207 | 2465 |
輪島市 | 315 | 2925 | 671 |
珠洲市 | 210 | 1586 | 422 |
羽咋市 | 252 | 3238 | 676 |
かほく市 | 498 | 7345 | 2496 |
内灘町 | 259 | 3244 | 651 |
津幡町 | 344 | 3460 | 1206 |
志賀町 | 268 | 3765 | 1103 |
宝達志水町 | 144 | 1712 | 652 |
中能登町 | 148 | 2428 | 583 |
穴水町 | 91 | 1181 | 271 |
能登町 | 245 | 2080 | 513 |
業種別の企業数割合をみると「建設業」(35.7%)が最も多く、医療業や宿泊業などを含む「サービス業」(18.8%)「製造業」(15.5%)「小売業」(13.9%)と続きました。
能登地方は観光産業も盛んです。帝国データバンクは「宿泊業は過去の東日本大震災(2011年)や熊本地震(2016年)、北海道胆振東部地震(2018年)など同様に、一時的に観光需要が大きく減少する傾向にあり、能登半島を中心とした観光産業では広く影響が出る可能性がある」と指摘しています。
「製造業」は売上高でみると、全産業のなかでトップでした。「製造業」を細かくみると、特に繊維工業で多く、金属加工や食料品製造、工作機械などの一般機械器具製造などで多かったといいます。
経産省は、北陸三県に加え、新潟県などの幅広い地域における産業の主要な生産拠点を持つ企業と地場の企業、それらから影響を受けうるセットメーカーなどに対し被害情報等を収集しています。
それによると、建物や設備の損傷等の被害が多数発生しているが、情報収集を行った企業のうち約8割は再開または順次生産活動を再開する見込みで、残り2割は被害の詳細を確認中、あるいは復旧に向けた準備を進めている段階だといいます。
北陸3県に生産拠点やグループ企業を持つ大手企業は次のように情報開示しています。
東芝グループによると石川県能美市にある半導体生産拠点「加賀東芝エレクトロニクス」は1月9日、被害の小さかった一部生産工程について、操業再開したと発表しました。
建物に操業再開に支障を及ぼすような破損がなかったものの、クリーンルームの排気配管が広範囲にわたり破損しており、その修復に最優先で取り組んでいるといいます。また、製造装置については、石英等の破損が確認され、手配・修理・交換を進めていますが、必要数の確保に時間がかかる可能性があるといいます。
村田製作所の公式サイトによると、1月5日、石川、富山、福井の3県13工場のうち、8工場が9日までに順次生産を再開することを明らかにしました。残る5工場は「生産再開に向けてインフラと設備の状態を現在確認中」と説明しています。
リコーの子会社でスキャナーを手がける「PFU」と「PFUテクノワイズ」(石川県かほく市)は建屋や生産設備に大きな被害はないものの、余震などの状況から5日までの休業を決めました。
KOKUSAI ELECTRICによると、製造・開発の中枢である富山事業所では、甚大な被害は生じていないものの、施設の天井パネル、壁材、空調配管などに部分的な被害が生じており、安全確認、清掃、補修などを行う必要があるため、通常業務は1月9日から順次開始しているといいます。
サンケン電気は石川サンケンの生産拠点(堀松工場、志賀工場、能登工場)に被害状況の確認を進めていますが、現地では余震が続く中、確認作業には時間がかかる状況にあると説明しています。
ジャパンディスプレイは、石川工場で、配管の損傷、漏水、ボイラー停止等が発生していましたが、復旧に取り組んだ結果、1月8日までにクリーンルーム内の配管・ダクトなどの補修がほぼ完了し、生産装置の立ち上げを開始したといいます。
今後は、クリーンルームの温湿度調整などに必要な重油やLPGの安定確保が課題となるとして「継続して確保に努めてまいります」とコメントしています。
ディスプレイメーカーのEIZOは1月4日、七尾工場と羽咋工場で、工場建物及び生産設備に一部破損等の被害が確認されたと発表しました。生活インフラへの影響も出ており、特に震源地に近い七尾工場では、生産活動再開までに一定の時間を要する見込みだといいます。
日本ガイシによると、生産拠点(日本ガイシ石川工場、NGKセラミックデバイス石川工場、北陸エナジス)で物的被害の確認したところ、建物・設備で破損を確認し、個別に対応を進めているといいます。
不二越によると、生産および出荷に支障をきたす被害はなかったといいます。
コマツによると、コマツグループの生産拠点(粟津工場、金沢工場、氷見工場、コマツNTC)では、大きな被害は確認されていないといいます。そのため、安全確認を徹底し順次開始する方針だと説明しています。
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