中堅企業とは 全国で9000社超 経済産業省が従業員数で定義
経済産業省によると、中堅企業とは、常時使用する従業員の数が2000人以下の会社等(中小企業を除く)のことを指します。東京商工リサーチの企業データベースでは、2024年3月時点で中堅企業は9229社(前年比1.2%増、構成比0.7%)あるといいます。国内で事業・投資を拡大し、地域での賃上げにも貢献している重要な存在であるとして、政府は18の支援策を中心とする「中堅企業成長促進パッケージ」を公表しました。
経済産業省によると、中堅企業とは、常時使用する従業員の数が2000人以下の会社等(中小企業を除く)のことを指します。東京商工リサーチの企業データベースでは、2024年3月時点で中堅企業は9229社(前年比1.2%増、構成比0.7%)あるといいます。国内で事業・投資を拡大し、地域での賃上げにも貢献している重要な存在であるとして、政府は18の支援策を中心とする「中堅企業成長促進パッケージ」を公表しました。
目次
経産省によると、中堅企業は、中小企業を卒業した企業であり、規模拡大に伴い経営の高度化といったビジネスの発展や商圏の拡大・事業の多角化が見られる段階の企業群のことを指します。
中堅企業は国内で事業・投資を拡大し、地域での賃上げにも貢献している一方、国際的にみると、中堅企業から大企業へと成長する企業の割合は低く、成長投資などが十分でないという課題がありました。
というのも、従業員300人以下または資本金3億円以下の企業が中小企業とし、その規模を超える場合は大企業と位置付けられ、中小企業向けの支援策の対象外となっていたためです。そこで経産省が中堅企業を「常時使用する従業員の数が2000人以下の会社等(中小企業を除く)」と定義づけ、政府が支援策をまとめることにしました。
東京商工リサーチの企業データベースによると、2024年3月時点で「中堅企業」は9229社(前年比1.2%増、構成比0.7%)だといいます。
このうち、2023年の中小企業が、2024年に中堅企業に規模を拡大した企業は399社で、中堅企業から中小企業へ規模が縮小した企業も311社ありました。
中堅企業の産業別構成比は、最大は「サービス業ほか」の28.8%。次いで、情報通信業が18.0%、製造業16.3%と続きました。2024年の産業別構成比は以下の通りです。
業種 | 構成比 |
---|---|
サービス業ほか | 28.81% |
情報通信業 | 18.05% |
製造業 | 16.31% |
小売業 | 15.64% |
卸売業 | 13.93% |
建設業 | 2.41% |
金融・保険業 | 1.92% |
運輸業 | 1.65% |
不動産業 | 1.11% |
農・林・漁鉱業 | 0.11% |
3期連続で売上高・当期利益・従業員数が比較可能な企業を対象に、従業員1人あたりの年間売上高を算出すると、2023年1-12月期は中堅企業が8253万円で、大企業(8702万円)と僅差に迫ります。中小企業は4267万円でした。
中堅企業の2023年1-12月期の当期利益率は7.3%で、大企業(8.4%)には及ばないものの、前年(6.0%)から1.3ポイント上昇しました。一方、中小企業は3.4%でした。
東京商工リサーチによると、中堅企業に仲間入りした中小企業の従業員増加率を基準として「中堅企業に近い中小企業」を中堅企業「候補企業」として抽出したところ、全国に7万7614社あったといいます。
産業別にみると、最多が建設業の2万5849社(構成比33.3%)。次いで、卸売業1万5655社(同20.1%)、サービス業他1万83社(同12.9%)の順で、上位3産業が1万社を超えました。
地区別では、関東が2万9,731社で全体の約4割(構成比38.3%)を占めました。次いで、近畿が1万3156社(16.9%)、九州が9048社(11.6%)、中部が8300社(10.6%)となりました。
中堅企業は今後の事業を延ばす余地が大きいことから、政府は2024年3月、中堅企業に効果的な18事業を中心にまとめた中堅企業成長促進パッケージを公表しました。首相官邸の公式サイトには、関連施策190事業も含めたパッケージがPDF方式で掲載されています。
中堅企業成長促進パッケージは、以下の4つの柱で構成されています。
中堅企業が国内での事業や投資を拡大し、イノベーションを推進するための支援が盛り込まれています。
賃上げやキャリアアップ助成金、人材開発支援助成金などを通じて、中堅・中小企業の賃金水準の向上と良質な雇用の創出を目指す支援策をまとめています。
輸出物流の構築支援や海外展開支援など、海外市場への販路開拓やインバウンド消費の拡大を支援する施策があります。
新事業展開や中堅・中小グループ化税制など経営力の向上や事業再生を支援するための施策が用意されています。
中堅・中小グループ化税制
新事業展開等への集中支援
特別な体験の提供等によるインバウンド消費の拡大・質向上推進事業
HACCP等への対応支援
開発途上国の課題解決型ビジネスづくり支援
中堅・中小建設企業の海外進出支援業務
農林水産物・食品輸出プロジェクト(GFP)
効率的な輸出物流の構築・輸出向けHACCP等対応施設の整備
マッチングイベント等の実施による特定技能制度の活用促進
地域企業経営人材マッチング促進事業
地域企業におけるデジタル人材等の確保支援
人材開発支援助成金
賃上げ促進税制における中堅企業枠の創設
キャリアアップ助成金
物流業務の自動化・省人化、輸送効率化、デジタル化
ローカル10,000プロジェクト(地域経済循環創造事業交付金)
大規模成長投資促進のための地域未来投資促進税制の拡充
中堅・中小企業の賃上げに向けた省力化等の大規模成長投資補助金
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