目次

  1. 供給力が4エリアで増加
  2. 東京エリアは「一定のリスク」

 経済産業省によると、10年に一度の厳しい暑さを想定した電力需要に対する最小予備率は、全国すべてのエリアで最低限必要な3%を上回っています。このため、経済産業省は2024年6月3日に開催した電力・ガス基本政策小委員会で、節電要請見送りの方針を決めました。

 気象庁が5月に発表した6~8月の3カ月予報によると、夏の気温はいずれの地域でも、平年よりも高い見通しとなっています。

2024年夏の電力需給見通し
2024年夏の電力需給見通し(経産省資料、 https://www.meti.go.jp/shingikai/enecho/denryoku_gas/denryoku_gas/pdf/075_11_00.pdf)

 ただ、2024年7月の電力供給力の見通しは、北海道、東京、九州、沖縄の4エリアで2023年より増加しました。一方、電力需要見通しは北海道をのぞいて、2023年よりも低下しています。前年と比べて供給力が高まったことから、安定供給に最低限必要な予備率を上回る形になりました

 ただし、北海道、東北、東京エリアの7月の最小予備率は4.1%で、最低ラインの3%に近い水準となっています。

東京エリアにおける⽕力発電設備の運転開始からの経過年数
東京エリアにおける⽕力発電設備の運転開始からの経過年数(経産省資料、https://www.meti.go.jp/shingikai/enecho/denryoku_gas/denryoku_gas/pdf/075_11_00.pdf)

 このうち東京エリアでは、運転開始から40年以上経過している⽕力発電所が供給力の約1割を占めており、多くの⽕力発電所が東京湾岸に集中していることから、「一定のリスクがある状況が継続している」としています。

 経済産業省では供給力の確保のため、発電事業者に対する保安管理の徹底の要請、再生可能エネルギーの最大活用、原子力発電所の再稼働などを方針として掲げました。

 需要面では企業や家庭などに向けて「省エネ対策を推進し、エネルギーコストの上昇に強い省エネ型の経済・社会構造への転換を引き続き図ることが重要」と呼びかけています。