目次

  1. 日本の世帯数の将来推計とは
  2. 2050年までの世帯数の変化 40道府県で2020年を下回る
  3. 世帯あたりの平均人数は2人未満へ
  4. 単身世帯の割合はすべての都道府県で増加傾向
  5. 世帯主が65歳以上の増加 秋田は60.6%
  6. 世帯主が75歳以上の独居率も増加 
  7. 世帯構造の変化で市場ニーズも変化

 国立社会保障・人口問題研究所の公式サイトによると、国立社会保障・人口問題研究所は、国勢調査をもとに、人口と世帯数について、1966年から全国と地域別の将来推計をしています。2024年は9回目の推計です。

 世帯数が世帯主数に等しいことを利用して、以下のように世帯数を推計したといいます。

世帯数=世帯主数=人口×人口に占める世帯主数の割合

 全国的に見ると、2030年をピークに世帯数は減少に転じ、2050年には2020年と比べて5.6%減ると予測されています。

 都道府県別に見ると、2050年の世帯数は40道府県で2020年を下回り、その減少率は地域によって大きく異なります。このうち28道県では10%を超える減少となり、とくに、秋田県(-29.1%)など9県では20%以上の減少だといいます。

 一方、7都県(東京、沖縄、千葉、埼玉、愛知、神奈川、滋賀)は、2050年の一般世帯総数は2020年よりも多いものの、すでに増加のピークは過ぎているといいます。

 少子高齢化により、世帯あたりの平均人数(平均世帯人員)も減少傾向にあり、2020年の2.21人から2050年には1.92人へと縮小すると見込まれています。

世帯あたりの平均人数
世帯あたりの平均人数

 2020年には東京都以外の46道府県で2人以上ですが、2040年には半数を超える26都道府県で2人を下回り、2050年には東京都と北海道の1.78人をはじめ、2人を下回るのは34都道府県に上ると見込まれます。

 2050年の平均世帯人員が2人以上となるのは、山形県(2.15人)、福井県(2.12人)、佐賀県(2.11人)、鳥取県(2.10人)、新潟県(2.07人)、富山県(2.07人)など、東北から中部並びに西日本の日本海側を中心とする13県のみとなります。

 全国における「単独世帯」の割合は、2020年の38.0%から2050年には44.3%へと上昇するといいます。もっとも低いのが山形県(34.5%)で、もっとも高いのは東京都(54.1%)です。

 都道府県別の「単独世帯」の割合はすべての都道府県で上昇し、2050年には27都道府県で40%を超える見込みです。5年ごとの推移をみても、すべての都道府県で推計期間を通じて一貫して上昇しています。

 少子高齢化により、高齢世帯の割合は今後も増えると予測されています。世帯主が65歳以上の世帯の割合は、全国で2020年の37.6%から2050年の45.7%へと上昇するといいます。

世帯主が65歳以上の世帯の割合
世帯主が65歳以上の世帯の割合

 都道府県別のこの割合は、すべての都道府県で2050年の値が2020年の値を上回り、2050年には35.6%(東京都)~60.6%(秋田県)となります。

 東北・四国などの21県で50%を超える一方、25道府県で40~50%を示し、東京都(35.6%)のみが40%を下回ります。

 世帯主が75歳以上の人の独居率(単身世帯)もすべての都道府県で上昇し、2020年の39.1%から2040年の47.2%へ上昇します。2050年はもっとも低いのが山形県で36.0%、もっとも高いのが東京都で54.3%と見込まれています。

 2050年に50%を超えるのは東京都(54.3%)、大阪府(52.7%)、鹿児島県(50.9%)など6都府県です。

 2050年にかけて進行する世帯構造の変化は、とくに地方の企業経営にとっても大きな影響があります。

単身・高齢者向けの消費者ニーズ

 単身世帯や高齢世帯の増加に向けて、これらの層をターゲットとした商品・サービス開発が重要となります。たとえば、単身者向けのコンパクトな住居や家電製品、高齢者向けの健康食品や介護サービスなどが考えられます。

住宅需要の変化への対応

 バリアフリー設計や生活支援サービス付きの住宅など単身者向け住宅や高齢者向け住宅の需要は、今後ますます高まる可能性があります。

労働力不足への対応

 少子高齢化による労働力不足は、多くの企業にとって深刻な課題です。高齢者も長く健康に働ける制度づくり、能力を生かせるような職場環境づくりが重要となります。