トランプ関税、日本企業1.3万社に影響 2000社が米国・中国とも輸出

帝国データバンクの調査によると、2025年1月時点で北米と中国に製品・サービスを輸出する日本企業は1万2911社に上り、中国向けが最多の9850社、次いで米国向けが4854社ありました。トランプ米大統領は2025年2月4日に中国向け追加関税を発動しており、今後、メキシコ・カナダだけでなく、日本にも関税を発動する場合、こうした企業活動に影響が及ぶ可能性があるといいます。
帝国データバンクの調査によると、2025年1月時点で北米と中国に製品・サービスを輸出する日本企業は1万2911社に上り、中国向けが最多の9850社、次いで米国向けが4854社ありました。トランプ米大統領は2025年2月4日に中国向け追加関税を発動しており、今後、メキシコ・カナダだけでなく、日本にも関税を発動する場合、こうした企業活動に影響が及ぶ可能性があるといいます。
石破総理大臣とトランプ大統領は2025年2月7日(日本時間で8日未明)、初めての日米首脳会談に臨みました。
首相官邸の公式サイトによると、その後の記者会見で、石破総理大臣から、対米投資額を1兆ドルという未だかつてない規模まで引き上げたい、そのために共に取り組んでいきたいとの意思を伝え、トランプ大統領から、日本企業による対米投資に対する強い歓迎の言葉があったことを明らかにしました。
日米首脳会談のなかでは日本への具体的な関税について触れませんでしたが、トランプ米大統領は日米首脳会談後の共同記者会見で、多くの国に対し「相互関税」を計画していることを発表しました。「相互関税」とは、貿易の相手国と相互に同様の関税を課す措置のことを指すとみられ、週明けにも公表予定です。
関税は今後、日本企業にどのような影響を与えるのでしょうか。帝国データバンクがデータベースをもとに調査・分析した結果、日本から北米・中国に製品・サービスを直接・間接的に輸出する日本企業は2025年1月時点で1万2911社に上りました。
中国向けが9850社と最多であり、米国向けは4854社、カナダが471社、メキシコが243社と続きました。業種別では、卸売業が最多の6348社(49.2%)、製造業が5211社(40.4%)と続きました。
輸出額の割合(シェア、1社あたり)を分析すると、中国向けで判明した企業約1600社で平均42.3%となり、米国向けで判明した企業約800社の平均割合28.6%に比べ、中国向けの企業で売上高における輸出への依存度がより大きくなっていました。
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米国向けの輸出をみると、業種別で最も多いのが「製造業」で2499社に上りました。米国向けの製造業輸出では、工作機械や機械工具、半導体製造装置製造などの「一般機械器具製造業」が多くみられました。
米国・中国両国に輸出する企業は2058社あり、米国向け輸出企業(4854社)の約4割に上りました。米中両国に輸出する日本企業では、日本から中国へ原材料や部材を輸出し、現地工場で加工・組み立て後、米国へ完成品を出荷するといった供給ルートや、米中双方の研究施設向け備品搬入など、扱い品目や取引先は幅広くみられたといいます。
中国向けの輸出をみると、業種別で最も多いのが、卸売業で5200社に上りました。なかでも「機械器具卸売業」が多く、機械工具や精密機械、医療機器など、取扱品目は多岐にわたりました。
また、中国での日本産食品の需要増を背景に、和牛や日本酒、健康食品などを取り扱う「飲食料品卸売業」も多くみられたといいます。
こうした結果に対し、帝国データバンクは次のように分析しています。
「トランプ関税」の影響は、中国を生産基地として米国に輸出してきた企業や、北米3カ国の自由貿易協定(USMCA)の下、自動車産業を中心にメキシコなどへ米国向け組み立て工場を設置するなどグローバルバリューチェーンを構築してきた企業にとって、価格転嫁や生産拠点の変更といった対応を迫られるなど、経営面でのインパクトは無視できないものになる。米国のほか中国、メキシコ、カナダ4カ国に輸出する日本企業1.3万社を中心に、サプライヤーなどを通じて日本経済に広く影響が及ぶ可能性がある。
米国の対中・対北米追加関税に対する日本企業の影響調査
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