小規模事業者持続化補助金とは

 中小企業庁によると、常時使用する従業員数が20人(商業・サービス業は5人)以下の小規模事業者は、国内に304.8万件、企業全体の84.9%を占めます。地域の経済社会・雇用を支える重要な存在ですが、経営基盤は規模の大きな事業者に比べると、安定しているとは言えません。一方、成長の可能性も秘めた存在です。事業環境変化のサイクルが早まっています。

 そんな状況の強い味方になるのが「小規模事業者持続化補助金」です。小規模事業者が、地域の商工会議所または商工会のアドバイスを受けて経営計画を作成し、その計画に従って販路開拓等に取り組む場合に、費用の一定割合が補助されます。

採択事業者の90%以上が成果を実感

 中小機構が公表している平成26年度(2014年度)補正予算事業採択事業者へのアンケート結果によると、採択事業者の97.5%が客数増加、96.0%が売上増加を実感したといいます。

小規模事業者持続化補助金の成果と活用例(中小機構のパンフレットから)

持続化給付金とは別の制度

 「持続化給付金」とは、新型コロナウイルス感染症による営業自粛などで大きな影響を受ける事業者に対し、事業の継続や再起を支援するため、事業全般に広く使える給付金のことです。一方で、「持続化補助金」は事業計画をつくり、審査で採択された人だけが対象です。採択されてもすぐに補助金が支給されるものではなく、事業計画を完了したあとに補助を受けられます。

一般型とコロナ特別枠の違いとは

 小規模事業者持続化補助金には、「一般型」と「コロナ特別対応型」があります。

 一般型とは、経営計画にもとづく小規模事業者の販路開拓や生産性向上の取組に要する経費の一部を支援する制度です。およそ1年以内に売り上げアップにつながることが見込まれるものが対象です。一般型の補助上限額は50万円で、補助率は2/3です。たとえば、下記のようなものが補助対象になります。

  • 非対面販売のためのホームページの作成・改良
  • 店舗の改装
  • チラシの作成、広告掲載など

 コロナ特別対応型とは、新型コロナウイルス感染症の影響を乗り越えるため、補助対象経費の6分の1以上が、以下のいずれかの要件に合致する投資を行う小規模事業者の販路開拓や生産性向上の取組に要する経費の一部を支援する制度です。補助上限額は100万円です。要件によって補助率が異なります。

  • サプライチェーンの毀損への対応(補助率2/3)
  • 非対面型ビジネスモデルへの転換(補助率3/4)
  • テレワーク環境の整備(補助率3/4)

 また、事業再開を後押しするため、業種別ガイドラインなどにもとづいて行う感染防止対策を「事業再開枠」として追加で支援する制度もあります。さらに、屋内運動施設やバー、カラオケ、ライブハウスなど追加の対策が必要な「特例事業者」には、上限額を最大 50 万円の上乗せがあります。こうした制度を組み合わせると、補助上限額はコロナ特別対応型で200万円となります。詳しくは、日本商工会議所の特設サイトのQ&Aなどを参考にしてください。

日本商工会議所が公表している小規模事業者持続化補助金のQ&Aから引用

採択率は80%超

 すでに締め切られた回を見てみると、令和元年度(2019年度)補正予算の「一般型(第1回締切分)」の採択率は約91%。令和2年度(2020年度)補正予算の「コロナ特別対応型(第1回締切分)」の採択率は約82%。令和2年度補正予算の「コロナ特別対応型(第2回締切分)」は約81%です。非常に高い採択率となっていました。

対象は小規模事業者

 補助対象者は、原則として日本国内に所在する小規模事業者です。小規模事業者の定義は次の通りです。

  • 商業・サービス業(宿泊・娯楽業除く)……常時使用する従業員の数が5人以下
  • サービス業のうち宿泊業・娯楽業……常時使用する従業員の数が20人以下
  • 製造業その他……常時使用する従業員の数が20人以下

そのほかのくわしい条件は、公募要領を確認してください。

補助対象経費

 補助対象経費は、以下の要件をすべて満たすことが必須です。

  1. 使用目的が補助事業遂行に必要なものと明確に特定できる経費
  2. 交付決定日以降に発生し対象期間中に支払が完了した経費
  3. 証拠資料等によって支払金額が確認できる経費

 補助対象となる経費は、補助事業の期間中に、販路開拓など(または業務効率化)の取組を実施したことに必要な費用の支出に限られます。補助事業実施期間中に実際に使用し、補助事業計画に記載した取組をしたという実績報告が求められます。補助対象の費用としては、以下の項目が挙げられています。

  • 機械装置等費
  • 広報費
  • 展示会等出展費
  • 旅費
  • 開発費
  • 資料購入費
  • 雑役務費
  • 借料
  • 専門家謝金
  • 専門家旅費
  • 設備処分費
  • 委託費
  • 外注費

 例えば、機械装置費等では、汎用性があり目的外使用になり得るもの(パソコン・タブレットなど)の購入費用は補助対外となるなど、各項目に経費認定の基準が定められています。全国の商工会議所、または商工会の助言を受けて計画を策定するとよいでしょう。

申請の締め切り

 次の申請締め切りは以下のとおりです。

  • コロナ特別対応型……2020 年8月7日、次回は10月2日(いずれも郵送:必着)
  • 一般型……2020年10月2日、次回は2012年2月5日(郵送:締切日当日消印有効 )

公募要領の確認を

 令和元年度補正予算、令和2年度1次補正予算、令和2年度2次補正予算にも盛り込まれています。公募要領は下記にあります。申請のまえに、公募要領を確かめてください。

販路拡大と収益性向上に取り組むチャンス

 小規模事業者は後継者不足に悩まされるだけでなく、事業サイクルの波が速くなり、存続の危機にさらされるケースが増えています。2014年から2016年の2年間で、小規模事業者は20.4万件減少しました。わずか2年間で6.3%が減少した計算になります。

 一方、同期間に大企業は微増しました。新型コロナウイルス感染症の影響もあり、小規模事業者が存続するために、販路を拡大し、収益性を向上させることは重要な課題となっています。補助金の活用を足掛かりに、課題に正面から取り組んでみてもよいと思います。