目次

  1. 小規模事業者持続化補助金とは
  2. 2021年度(令和3年度)補正予算による特別枠
    1. 賃金引上げ枠
    2. 卒業枠
    3. 後継者支援枠
    4. 創業枠
    5. インボイス枠
  3. 補助率と補助上限
  4. 補助金の対象、個人事業主も
  5. 採択されるためのポイント
  6. 補助対象となる経費
  7. 補助金の申請受付、いつからいつまで?

 公式ガイドブックによれば、小規模事業者持続化補助金とは、小規模事業者が自社の経営を見直し、持続的な経営に向けて経営計画を作った上で行う販路開拓や生産性向上を支援する補助金です。

 2021年度補正予算で特別枠が拡充されました。特別枠のうち、4つは上限額が200万円と通常枠より大幅に引き上げられています。

 事業場内最低賃金を地域別最低賃金より+30円以上(達成済みなら、現在支給している、事業場内最低賃金より+30円以上)とした事業者が対象。また、業績が赤字の申請事業者は、補助率を3/4へ引き上げ、優先採択されます。

 常時使用する従業員を増やし、小規模事業者の従業員数を超えて規模を拡大する事業者が対象です。

 将来的に事業承継する予定があり、新たな取り組みをする後継者候補としてアトツギ甲子園のファイナリストになった事業者が対象です。

 産業競争力強化法にもとづく認定市区町村や認定連携創業支援等事業者が実施した「特定創業支援等事業」による支援を過去3年の間に受け、かつ、過去3年の間に開業した事業者が対象です。

 2021年9月30日から2023年9月30日の属する課税期間で一度でも免税事業者であったまたは免税事業者であることが見込まれる事業者のうち、インボイス発行事業者に登録した事業者が対象です。

 補助率と補助上限は次の表の通りです。

類型 補助率 補助上限
通常枠 2/3 50万円
賃金引き上げ枠 2/3(赤字事業
者は3/4)
200万円
卒業枠 2/3
後継者支援枠
創業枠
インボイス枠 100万円

 補助金は、法人、個人事業主、特定非営利活動法人が対象ですが、常時使用する従業員の数に上限があります。

  • 商業・サービス業(宿泊業・娯楽業除く)……常時使用する従業員の数が5人以下
  • 宿泊業・娯楽業……常時使用する従業員の数が20人以下
  • 製造業その他……常時使用する従業員の数20人以下

 また、下記の3つの条件に当てはまっていないことを確認してください。

  1. 資本金または出資金が5億円以上の法人に直接または間接100%株式保有されていない(法人のみ)
  2. 直近過去3年分の各年または各事業年度の課税所得の年平均額が15億円を超えていない
  3. 本補助金の受付締切日の前10カ月以内に、持続化補助金(一般型、低感染リスク型ビジネス枠)で採択されていない

 補助金には審査があり、前提として要件をすべて満たし、提出書類もそろっていることが必要です。評価の高い事業者から採択されるため、加点措置をうまく活用しつつ、審査のポイントをおさえて申請書を書くことが重要です。

 審査のポイントは次の通りです。

  • 自社の経営状況を適切に把握し、自社の製品・サービスや自社の強みも適切に把握しているか
  • 経営方針・目標と今後のプランは、自社の強みを踏まえているか
  • 経営方針・目標と今後のプランは、対象とする市場(商圏)の特性を踏まえているか
  • 補助事業計画は具体的で、当該小規模事業者にとって実現可能性が高いものとなっているか
  • 補助事業計画は、経営計画の今後の方針・目標を達成するために必要かつ有効なものか
  • 補助事業計画に小規模事業者ならではの創意工夫の特徴があるか
  • 補助事業計画には、ITを有効に活用する取り組みが見られるか
  • 補助事業計画に合致した事業実施に必要なものとなっているか
  • 事業費の計上・積算が正確・明確で、真に必要な金額が計上されているか

 加点措置には、次のような項目があります。

加点措置 概要
パワーアップ型加点(地域資源型) 地域資源等を活用し、良いモノ・サービスを高く提供し、付加価値向上を図るため、地域外への販売や新規事業のたち上げを行う計画に加点
パワーアップ型加点(地域コミュニティ型) 地域の課題解決や暮らしの実需に応えるサービスを提供する小規模事業者による、地域内の需要喚起を目的とした取組等を行う計画に加点
赤字賃上げ加点 賃金引上げ枠に申請する事業者のうち、赤字である事業者に対して加点
東日本大震災加点 福島第一原子力発電所事故による被害を受けた水産加工業者等に対して加点
経営力向上計画加点 中小企業等経営強化法に基づく「経営力向上計画」の認定を受けている事
業者に対して加点
電子申請加点 補助金申請システム(名称:J グランツ)を用いて電子申請を行った事業者
に対して加点
事業承継加点 代表者の年齢が満60歳以上の事業者で、かつ、後継者候補が補助事業を中心になって行う場合に加点
過疎地域加点 過疎地域の持続的発展の支援に関する特別措置法に定める過疎地域に所在し、地域経済の持続的発展につながる取り組みを行う事業者に対して、加点

 小規模事業者持続化補助金の特徴は、活用できる用途の広さです。次の11項目が補助対象です。

  1. 機械装置等費……製造装置の購入等
  2. 広報費……新サービスを紹介するチラシ作成・配布、看板の設置等
  3. ウェブサイト関連費……ウェブサイトやECサイト等を構築、更新、改修するために要する経費(補助金交付申請額の1/4が上限、ウェブサイト関連費のみで申請できないので注意)
  4. 展示会等出展費……展示会・商談会の出展料等
  5. 旅費……販路開拓(展示会等の会場との往復を含む)等を行うための旅費
  6. 開発費……新商品・システムの試作開発費等(販売商品の原材料費は対象外)
  7. 資料購入費……補助事業に関連する資料・図書等
  8. 雑役務費……補助事業のために雇用したアルバイト・派遣社員費用
  9. 借料……機器・設備のリース・レンタル料(所有権移転を伴わないもの)
  10. 設備処分費……新サービスを行うためのスペース確保を目的とした設備処分等(経費総額の1/2が上限)
  11. 委託・外注費 店舗改装など自社では実施困難な業務を第三者に依頼(契約必須)

 申請受付は2022年3月29日に開始しました。通年での公募ですので、慌てず入念に準備した上で申請しましょう。申請の締切は次の通りです。

  • 第8回……6月3日
  • 第9回……9月中旬
  • 第10回……12月上旬
  • 第11回……2023年2月下旬

 ただし、それぞれ締め切りの1週間前に注意すべきことがあります。申請前に「経営計画書」と「補助事業計画書」の写し、希望する枠や加点に関する書類などを地域の商工会・商工会議所窓口に提出し、「事業支援計画書」の作成・交付を受ける必要があります。

 「事業支援計画書」の受付締切は、原則それぞれの公募締切の1週間前です。