目次

  1. 事業再構築補助金とは
  2. 認定支援機関要件とは
  3. 問題となった「成功報酬2割」とは
  4. 申請の支援を受けた場合の注意点
  5. 認定支援機関の支援で得られた効果とは

 事業再構築補助金とは、予算規模が1兆1485億円に上る2020年度第3次補正予算で注目された事業の一つです。

 変化の激しいコロナ禍の経済社会に対応しようと、新規事業に取り組む中小企業などに向けた補助金です。2021年度に通常枠では5回程度予定されています。

 事業再構築補助金の公募要領には「認定支援機関要件」が設けられています。これは、補助金の申請に必要な事業計画は、中小企業に専門性の高い支援事業をすることを定められた「認定経営革新等支援機関」(認定支援機関)といっしょに作ることが定められています。

 認定支援機関には、具体的には、商工会議所や商工会のほか、中小企業診断士、税理士、公認会計士、弁護士、 金融機関等が主な認定支援機関が含まれます。

 2.2万件の申請のうち、主な支援先は次の通りです。

  • 地方銀行……約4000件
  • 信用金庫……約3000件
  • 商工会議所……約2000件
  • 商工会……約1400件
  • 税理士・税理士法人……「地銀と信金と似た水準かも」(中小企業庁・村上部長)

 認定支援機関といっしょに作る事業計画は、事業終了後3~5年で、付加価値額と従業員一人あたり付加価値額がそれぞれ年率平均3.0%以上の増加(グローバルV字回復枠はいずれも5.0%)を見込んでいることが必要で、認定支援機関には申請だけでなく継続的なサポートが期待されています。

 補助金事務局は、中小企業庁の村上部長のインタビュー動画をYoutubeで公開。このなかで、事業再構築補助金の申請について「成功報酬2割で引き受けますという人が結構出た」と、一部の銀行関係者などの支援内容が報酬に見合わず、相当反発を招いたことを明かしました。

 中小企業庁の技術・経営革新課によると、認定支援機関や個人で開業しているコンサルティング業などで報酬と支援内容が見合わないケースが複数あったそうです。こうした状況に、村上部長は「相当不謹慎ですね、はっきり言って」と動画のなかで厳しく批判しました。

 村上部長は補助金に採択されることが成功ではないと強調したうえで「3~5年後の事業再構築の最後まで見届けて、2割取るならわかる。申請書手伝ったところで手数料はせいぜい2~3%程度」との見方を示しました。

 そして、申請だけを手伝った支援に対して「偉そうに言うな、成功報酬と」と語気を強めていました。

 事業再構築補助金の公募要領では、申請サポートに対する注意点を次のように書いています。

事業計画の検討に際して外部の支援を受ける場合には、提供するサービスの内容とかい離した高額な成功報酬等を請求する悪質な業者等にご注意ください。認定経営革新等支援機関及び申請書の作成を支援した外部支援者がいる場合は、事業計画書の「事業計画書作成支援者名」「作成支援報酬額」の欄に当該事業者名及び当該事業者に支払う報酬の内容(成功報酬の場合は、採択時に支払う金額)と契約期間を記載してください。

令和二年度第三次補正事業再構築補助金公募要領(PDF方式)

 中小企業庁は今後、不適切な行為と認められる事案をとりまとめ、公表します。さらに「当該支援者が認定経営革新等支援機関である場合には、業務改善命令や認定取り消しに至る可能性があります」と警告しています。

 こうした問題の一方で、村上部長は「今回、事業計画をつくるうえで良い認定支援機関と良い経営者のチームがけっこう生まれている」と評価しました。

 経営コンサルや経営指導はあまり使ったことがなかった経営者でも、今回の事業再構築補助金の申請をきっかけに相談することで、中小企業の魅力が言語化できたのではないかとしています。

 そして「ちょっとだけ中小企業業界も温まってきたかも」と期待を寄せました。