脱炭素経営とは 環境省が中小企業向けにハンドブック 補助金なども紹介
パリ協定や日本政府の「2050年カーボンニュートラル宣言」などを契機に、脱炭素経営に取り組む動きが少しずつ広がっています。中小企業であっても、無縁ではありません。サプライチェーンの取り組みを通じて脱炭素という潮流への対応が必要になりつつあります。そこで、環境省のガイドラインをもとに、脱炭素経営のメリットや導入手順について紹介します。
パリ協定や日本政府の「2050年カーボンニュートラル宣言」などを契機に、脱炭素経営に取り組む動きが少しずつ広がっています。中小企業であっても、無縁ではありません。サプライチェーンの取り組みを通じて脱炭素という潮流への対応が必要になりつつあります。そこで、環境省のガイドラインをもとに、脱炭素経営のメリットや導入手順について紹介します。
目次
環境省によると、脱炭素経営とは、候変動対策(≒脱炭素)の視点を織り込んだ企業経営のことを指します。これまでは、コストが増えるCSR活動の一環であることが多かったのですが、近年は、自社の経営上の重要課題と捉え、リスク低減と成長のチャンスにつながるものとしてとらえ、会社全体で取り組む企業が増えています。
日本政府は2050年までに温室効果ガスの排出量を実質ゼロにする「カーボンニュートラル」、脱炭素社会を実現することを宣言しています。2050年カーボンニュートラルを達成するためには、この5年間、10年間の取組が重要となります。
そのため、企業の脱炭素経営を推し進めるため、環境省の公式サイトで「中小規模事業者向けの脱炭素経営導入ハンドブック」などを公表しています。
脱炭素経営導入ハンドブックによると、脱炭素経営によって期待されるメリットは次の5つです。
脱炭素経営に向けては次の3つの手順で進めましょう。
具体的には次の通りです。
脱炭素経営に関連するセミナーや講演会は、数多く開催されているほか、地方自治体や商工会議所、地域金融機関でも、脱炭素経営に関連する相談窓口を設けている場合があります。
ガイドラインでは、自社のバリューチェーン上の企業の動きや消費者の動きも重要だとして、主な取引先や顧客との会話を通し、カーボンニュートラルへの取組の状況や要望、ニーズの変化等の情報を収集することを勧めています。
収集した情報をもとに、自社なりの脱炭素経営の方針を定義し「自社が出来ることは何か」「どのような付加価値を提供できるのか」を考えるよう勧めています。
CO2排出量は、業務日報や請求書などから計算できます。ガイドラインでは「最初から完璧な算定を求めず、まずはチェックシート等を活用し、主要な排出源を特定するところから始め、取組を進めながら、設備単位でも算定する等、徐々に精緻化していくとよいでしょう」と書いています。
たとえば、日本商工会議所の公式サイトでは、CO2チェックシートがダウンロードでき、電力・灯油・都市ガス等エネルギー種別に毎月の使用量・料金を入力・蓄積することで、CO2排出量が自動的に計算できます。
計算して求めたCO2排出量を事業所単位や事業活動単位でグラフなどを使って分析すると、排出量が多く、削減余地のある部分が見えてきます。
ガイドラインは、自社のCO2排出源を分析し、削減対策を洗い出すことを勧めています。洗い出した削減対策から実施可能な削減対策をリストアップすることで、実施計画をつくることに役立ちます。
検討のポイントとして次のような比較軸があります。
そのうえで、取り組みとして最終目標や中間目標をつくることを勧めています。
削減計画を実行する段階では、自社のCO2排出量を定期的にチェックし、目標に対する進捗やギャップを確認すると良いでしょう。
必要に応じて、リース会社や金融機関とのファイナンス相談、メーカーや設備業者などの助言も仰ぐことも有効だといいます。こうした取り組みは、社内での周知だけでなく、自社の顧客や業界団体、地方自治体など、社外に向けて積極的に自社の脱炭素経営の取り組みをアピールすることも事業成長へのステップとなります。
脱炭素経営を進める上で、運用改善などすぐできることから始め、設備更新などの大がかりな対策は国や自治体の補助制度の活用や、金融機関への資金繰りの相談をしながら進めることを勧めています。
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