目次

  1. 誤解しがちな労働と対価の関係
  2. 二つのモチベーションとは
  3. ベースアップは効果的か
  4. 採用優位性を得る賃上げは有効
  5. 会社は外部に価値を提供する存在

 物価高騰を背景に賃上げを実施しようとする経営者は、「従業員の生活を守りたい」とか「賃上げをしなければ社員が離職してしまうのではないか」と考えているでしょう。しかし、そうした理由で一律の賃上げをするのには疑問があります。その理由は、労働と対価の関係を考えてみれば分かりやすいはずです。

 例えば、マンモスを狩って生活していたころ、人間は狩りという労働をするからこそマンモスの肉という対価を手に入れることができました。この逆、つまり肉を先に食べさせてもらうから狩りにいくわけではないはずです。

 会社経営の理想は、社員一人ひとりの意識が「物価が高騰しているのだから今まで以上に頑張らなければ」という方向に向いている状態です。物価の高騰はつまるところ貨幣価値の低下であるため、マンモスの例に当てはめると、1頭当たりから食べられる肉量の減少を意味します。これまでと同じ量の肉を食べたいなら、努力してより大きな獲物を狩るか、仕留める獲物の数を増やさないといけないでしょう。

 皆さんの会社には、成果を残した分給与が増えていく仕組み、すなわち評価制度は整っているでしょうか。評価制度がない、あっても基準があいまいなら、賃上げより先に明確な評価制度の構築を急いでください。

 成果に応じて給料が増えず、ポジションが上がっていかない会社の社員が「これまで以上に頑張らなければ」というモチベーションを持つのは無理です。当然、社員の離職も発生しやすくなります。

 我々はモチベーションを「内発的動機」と定義しています。内発的動機は、「内質的動機」と「物質的動機」に分けられます。

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