目次

  1. 障害者雇用をゴールとしない
  2. 環境整備の鍵は社内ルール作り
  3. ビルメンテナンス会社の解決策
  4. 特別扱いが理解を妨げる原因に
  5. 違反を繰り返す社員への対応は
  6. 働きやすい職場づくりは経営者の仕事

 障害者雇用促進法によれば、民間企業における障害者の法定雇用率は2023年7月現在で2.3%です。つまり、43.5人以上社員がいる会社は1人以上の障害者を雇用しなければなりません。

 法定雇用率は24年度に2.5%、26年度には2.7%へと引き上げられます。2.5%で40人以上の企業が、2.7%で38人以上の企業が対象となります。今後、法定雇用率がさらに高くなる可能性も考えられるため、中小企業の経営者はいつまでも障害者雇用と無関係ではいられません。早めの体制づくりが肝心です。

 障害者の雇用を決めたなら、採用活動に移る前に会社にとって必要な業務を確認しておきましょう。そして、そのポストを担う人材を障害の程度を踏まえた上で採用します。

 このとき、障害者の雇用そのものをゴールとし、その社員が可能な仕事をわざわざつくり出すような考えはやめてください。障害の有無にかかわらず、社員には会社のために働いてもらわねばなりません。最初から戦力として見なそうとしない態度は障害者に失礼です。

 障害者が実力を発揮してもらうためには周囲の理解が不可欠であり、それを醸成するための鍵は社内ルールです。まずは、下記を含めたルールを定めてみましょう。

  • できること、できないことは何か
  • どんなときにサポートが必要か
  • そのときに誰がサポートに入るのか

 特に、精神に障害がある社員にとっては、やるべきこと、やらなくてよいこと、やってはいけないことの線引きは重要と言えます。これらが明確になっていないために、他の社員から「なぜこんな簡単なこともできないのか」と責められてしまうかもしれないからです。筆者が以前、コンサルティングの依頼を請け負ったビルメンテナンス会社のケースをみてみましょう。

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