目次

  1. 所信表明演説とは
  2. 中小企業の省人化投資を補助 海外展開も支援
  3. ガソリン補助金、来春まで継続へ
  4. オーバーツーリズム対策・循環経済にも意欲
  5. 臨時国会の会期と今後の見通し

 所信表明演説とは、首相が臨時国会や特別国会で政権の運営方針や重点課題などを説明するもので、毎年1月に開催される通常国会では1年の政策方針などを訴える「施政方針演説」がなされます。

 23日の所信表明は以下の章立てとなっていました。

  1. はじめに ~変化の流れを掴(つか)み取る~
  2. 経済・経済・経済
  3. 社会
  4. 外交・安全保障
  5. 結び

 首相官邸の公式サイトに公開された所信表明のなかから中小企業に影響する政策について紹介します。

 岸田首相は、日本経済全体の需要と供給力の差を示す「需給ギャップ」(GDPギャップ)が需要過多に転じたことを踏まえ「総合経済対策の第一のポイントは、『供給力の強化』です」と訴えました。

 供給力強化に向けて次のような取り組みを明らかにしました。

  • 賃上げ税制を強化するための減税措置
  • 戦略物資について初期投資だけでなく投資全体の予見可能性を向上させる過去に例のない投資減税
  • 特許などの所得に関する新たな減税制度
  • 人手不足に苦しむ中堅・中小企業の省力化投資に対する補助制度
  • 突発的なエネルギー価格の高騰に備え、省エネ・脱炭素投資の更なる拡大

 このほかにもAI(人工知能)、自動運転、宇宙、中小企業の海外展開などの新しいフロンティアやイノベーションへの取り組み、スタートアップへの支援を強化することも明らかにしました。

 10月から先行して開始した「年収の壁・支援強化パッケージ」についても「106万円の壁に近づく可能性のある全ての方が壁を乗り越えられるようにするため、十分な予算上の対応を確保します」と述べました。

 原油価格高騰が生活や経済活動に出る影響を最小化するためのガソリン補助金にも触れました。

 9月からは年内いっぱいの緊急措置として、1リットル175円をガソリン価格の実質的な上限とするため補助を拡大してきました。そのうえで「この措置を電気・ガス料金の激変緩和措置とあわせて来年春まで継続します」と明らかにしました。

 岸田首相は地方創生にも言及しました。

 そのなかで観光政策について「観光は地域振興のエンジンです。コロナ禍を越え、多くの観光地でにぎわいを取り戻しつつあります。しかし、一部の地域や時間帯に観光客が集中することで生じる混雑、マナー違反、担い手不足などのオーバーツーリズムの問題も顕在化しています」と指摘し、持続可能な観光業に向けた対策にも着手することを明らかにしました。

 さらに、地方創生と社会課題解決を両立させる、循環経済への取り組みにも意欲を見せました。

 「持続的な食料の安定供給に向け、食料安全保障の強化、農業のスマート化・グリーン化の推進を図ります。あわせて、ホタテの品目別輸出促進団体を早期に認定するなど、市場拡大に向けて、農林水産物・食品の輸出促進に強力に取り組みます。農政の基本は現場にあります。今後も各地域に寄り添い、現場の方々の想(おも)いを受け止めながら、農政を転換し、実践的な支援を行ってまいります」

 外交のパートでは、中国の日本産水産物の輸入停止については「即時撤廃を求めるとともに、中国市場に依存しないよう販路拡大を図り、我が国の水産関係事業者を守るため、万全の対応を取ります」と訴えていました。

 衆議院の公式サイトによれば、臨時国会は12月13日までの55日間です。政府・与党は、経済対策などの取りまとめ、裏付けとなる2023年度補正予算案の成立を目指すと見込まれます。この補正予算案のなかに、省人化支援など中小企業向けの政策も含まれる予定です。