【写真特集】みそ・しょうゆ業界をリードする後継ぎたち
日本の伝統であるみそ・しょうゆ業界は、大小問わず多くの老舗企業によって支えられています。少子高齢化や和食の需要低下という逆風にも負けず、新商品開発や海外展開などで意欲的な経営をリードする後継ぎたちを、写真特集で紹介します。
日本の伝統であるみそ・しょうゆ業界は、大小問わず多くの老舗企業によって支えられています。少子高齢化や和食の需要低下という逆風にも負けず、新商品開発や海外展開などで意欲的な経営をリードする後継ぎたちを、写真特集で紹介します。
1885(明治18)年創業の「早川しょうゆみそ」(宮崎県都城市)は、7代目で専務の早川薫さんが、独自の乾燥技術でみそを粉末にした「umami・so」を生み出し、安全に配慮した有機みその海外展開とともに売り上げを伸ばしています。伝統食品の新しい可能性を模索し、宮崎の味を広めようと国内外を飛び回っています。
業務用だし専門の食品メーカー・フタバ(新潟県三条市)は創業70年余りですが、業界では後発です。差別化のため、加工技術と多彩な商品ラインアップを強みにしています。創業者の孫で4代目社長の江口晃さんは29歳で経営を継ぎ、販売戦略で失敗した経験をバネに、経営理念の策定や新商品「素材調味だし」の開発、カフェなどを併設したショップの開設、チョウザメの養殖と農業をかけ合わせた循環型農法への参入などに挑み続けています。
三重県伊賀市の山里にある福岡醤油店は128年に渡り、こだわりの製法でしょうゆを造り続け、海外進出も果たしています。4代目社長の川向美香さん(57)を支えるのは、佐和さん、伶実さん、志季さんの娘3人です。シンガポールを拠点とした海外展開のほか、製造、営業などそれぞれの得意分野を生かしながら、事業成長を加速させています。
金沢市のヤマト醤油味噌は創業110年超の老舗です。みそやしょうゆの醸造に加え、発酵食のテーマパーク「ヤマト・糀パーク」の運営など新しいアイデアを次々と打ち出しています。営業部長の山本耕平さんは、父で4代目社長の晴一さんの背中を追いながら、こうじのチーズケーキ専門店や新しい食品ブランドの立ち上げなどを手がけ、発酵食文化を次世代につなごうとしています。
広島市中心部から車で約1時間、美しい里山風景が息づく安芸高田市向原町。この町に、創業から100年以上愛されてきた、みそ蔵があります。有限会社和高(わだか)醸造。自家製の米こうじを使った伝統的な製法でみそやしょうゆを作り、変わらぬ味を今に伝えています。その伝統の味を次世代につなぐため、独自の挑戦を続けているのが4代目の大坪慎吾さんです。音楽やデザインの力を生かした手法で、県外や若い世代にファンを広げています。
umami・soの主力商品は3種類。21年12月には新シリーズ「Misoスパイス」3種類もラインアップに加わった(早川しょうゆみそ提供)
本社の倉庫で出荷を待つ「早川みそ」
日本の食品会社などによる展示会「食品輸出EXPO」に参加した早川薫さん(2019年、早川しょうゆみそ提供)
「ナショナル・ジオグラフィック・トラベラー・フード」の掲載ページ(早川しょうゆみそ提供)
1966年ごろに撮影された職人ら(早川しょうゆみそ提供)
「umami・so」の新シリーズを手にする「早川しょうゆみそ」の専務・早川薫さん
umami・soの研究のためこもっていた「品質管理室」で当時を振り返る早川薫さん
みそスパイスの商品化を思いついた経緯を語る早川薫さん
「ON THE UMAMI」の商品はギフトでも人気です(フタバ提供)
花削り、本枯節や血合い抜きなどバラエティー豊かです(フタバ提供)
「ON THE UMAMI」の商品を購入できるフラッグシップショップ
フタバのだしパック製法のイメージ(フタバ提供)
自社農園では約10種類の野菜を育てています(フタバ提供)
アクアポニックスでのチョウザメ養殖(フタバ提供)
カフェで提供する「だし屋のごはんセット」(フタバ提供)
福岡醤油店の看板商品「はさめず」。定番の「こいいろ」のほか「うすいろ」、「さしみ」用があります
自家製しょうゆをベースにしたドレッシング
福岡醤油店の次代を担う3姉妹。左から三女・川向志季さん、長女・佐和さん、次女・伶実さん
4代目社長として蔵を引っ張る川向美香さん
キリンのように長いケヤキの木に重りをつけて圧搾する「キリン式圧搾機」。時間をかけて搾り、キレの良い味わいと程よいまろやかさに仕上がります
紫色の外観が目を引く福岡醤油店は、蔵全体が登録有形文化財に指定されています
創業時から使用している吉野杉の木桶が並ぶしょうゆ蔵。約20個の桶を使い、じっくりと熟成させます
初の女性蔵人としてしょうゆ製造に従事する次女の伶実さん
目玉商品の「こめはなチーズケーキ(ホール)~ブリュレ~」(ヤマト醬油味噌提供)
ヤマト醬油味噌の商品群(同社提供)
ヤマト醬油味噌の玄米甘酒(同社提供)
ヤマト醬油味噌は発酵食文化を伝える取り組みにも力を入れています(同社提供)
ヤマト醬油味噌代表取締役の山本晴一さん(右)と工場長の晋平さん(同社提供)
家業のヤマト醤油味噌を支える営業部長の山本耕平さん
直売所では多彩な商品を扱っています
糀パーク内には醸造に使われている木おけを置いています
ヤマト醬油味噌は白い煙突が目を引きます
ネットショップは、和高醸造の味に新しいファンがつくきっかけになった(同社提供)
「和高醸造の味を若い方にも知ってほしい」という思いから生まれた新商品「アップビートソース」(同社提供)
「ずっと好きだった音楽と、調味料をつなげたい」という思いから新商品は生まれた(同社提供)
地元で愛され続けてきたみそとしょうゆが和高醸造の要(同社提供)
和高醸造の4代目・大坪慎吾さん
和高醸造のみなさん。老舗の味を守りながら、これからも挑戦を続ける(同社提供)
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