中小企業のDX実現へ経営者同士の議論白熱 中小企業リーダーズサミット
中小企業のリーダー層が集まる「日本を変える中小企業リーダーズサミット2024」は、2024年2月に3日間にわたり開催し、最終日は初のハイブリッド形式で実施するイベントとなりました。集まった経営者たちは、自社のDXを推進するにはどうすればよいのかについて、互いの課題を共有し、解決を図りました。この日に経営者たちが挙げた中小企業ならではの課題や解決に向けた決意宣言について紹介します。
中小企業のリーダー層が集まる「日本を変える中小企業リーダーズサミット2024」は、2024年2月に3日間にわたり開催し、最終日は初のハイブリッド形式で実施するイベントとなりました。集まった経営者たちは、自社のDXを推進するにはどうすればよいのかについて、互いの課題を共有し、解決を図りました。この日に経営者たちが挙げた中小企業ならではの課題や解決に向けた決意宣言について紹介します。
日本を変える中小企業リーダーズサミットとは、中小企業の事業継承や経営改革をテーマにしたウェブメディア「ツギノジダイ」と、ビジネスイベントの開催を通じて新たな出会いをサポートしている「Eight」が共催するイベントで、2024年2月に第3回目が開催されました。
最終日の2月9日は初のハイブリッド形式での開催となり、中小企業の経営層が交流を通じて互いの課題を共有し、解決するための実践的なアイデアを出し合いました。経営者数人ごとに作ったグループ内でどんな意見が出たのか、その一端を紹介します。
ツギノジダイは最初に「ディスカッションシート」を配布し、全社のDX、部門別のDXの取り組みについて各社に振り返ってもらうことにしました。シートに記入してもらうことで、自社の強み・弱みを俯瞰し、どこにボトルネックがあるのかを明らかにしてもらうことを目的にしています。
すると、各テーブルの議論のまとめ役「モデレーター」が参加者の意見をリアルタイムに受け付ける「Slido」に投稿してもらいました。すると、会社の全体的な課題としては次のような投稿がありました。
DXに取り組んでいるが、ぶつ切りになっている。人材の育成に取り組まなくてはいけない。
新しい会社はDXされているけど、古い会社はなかなかDXで変革することが難しい。古いことを変えることへの抵抗感がある。業務フローが変わることへの抵抗感が特にバックオフィスは強い。
DX化やプロジェクトは動き始めている、制度は作られているが、具体的に現場でどうやっていくのか、何からスタートすれば良いかが描けていない。会社としての投資は必要だが業界としてDXを加速させていくのも大切。相談相手を見つけることも大切。
DXツールの導入する際に担当者不在になって時間がかかってしまう/DX後データ活用が上手くできないところが多い。
部門別の課題も話題に上りました。
営業部門の顧客のランク付け、見える化ができていない。うまくいった実績だけ報告している現状がある。
多かったのは、営業情報の見える化ができていない、個別に営業ツール、DXを進めても、それぞれの情報が有機的に連携できていない、という課題でした。
災害時にネットワークが繋がらない、電源がないという状況になると事業継続に大きな影響ある。そう考えるとアナログを残す重要性もあると感じている。
DX戦略は、大企業は大きく打ち出すけど、中小企業になるとそこに向かう体力がなかなかない。現実離れしていると感じることがある。
各社人事部門に課題を感じている。採用課題、評価制度など、各社テーマごとに違いはありました。
DXを進める上で、ただ、新しいことを始めるだけでは業務が増えるだけです。そこで、人事・労務・経理などの業務のなかで半減できる業務はないかを話し合いました。また、業務削減に向けて何がボトルネックになっているのかについてもみんなで考えました。
↓ここから続き
バックオフィスの作業時間を減らして何をしていきたいのか?という方針を従業員と合意していかないといけない。従業員目線ではバックオフィスの時間を減らすこと自体にニーズがない。経営者が方針をきちんと周知する必要がある。
中小企業でバックオフィスが少ない場合、情報を共有したがらなくなり俗人的になる。その方が退職するとナレッジ含め大きな損失となってしまう可能性がある。
評価システムをWEBでやるのがそもそも難しい。システム導入の前に、評価基準を作る必要ある。経理システムと自社ルールを合わせるのが大変なので内製化している。
請求書を電子化したいが、取引先が高齢で、対応してもらえない。3年先までには対応お願いしますと少し長いスパンでお願いするか、伴走して教える?
各社バックオフィス系のITソリューションは導入済みが多数であるが、特に評価制度、人事配置の適材適所の難しさに苦慮している。ツールに頼らずChatGPTを導入している事例あり。
一方で、成功例の紹介もありました。
すでに2,3人で回せている、労務はアウトソーシングしている、DX化したいが人材が足りないなどいろいろな取り組みや感想が出てきました。なかでも、DXで総務経理を半減するのではなく、稼げる総務経理にしようという考え方にシフトしたというお話がとても印象的でした。
このほかにも、すでにバックオフィス部門はデジタルツールで業務を標準化した結果、少人数で回せるようになったが、逆に学べる専門知識が乏しくなってしまったという声も出ていました。
最後に参加した経営者それぞれにDXへの向き合い方、決意と目標を表明しました。
従業員が今後情報弱者になってしまわないように、少しずつ、やれる範囲の中でデジタルにUpdateしていきたい。今回のセッションで標準化の重要性も感じたので、従業員が次のキャリアに移った時にもITツールをしっかり使えるんだよ、というメリットをきちんと使えていく。
ツールを入れることを目的化してしまっている。従業員に目的共有をしないと入れて終わりになってしまう。やり続けないと効果が出ない。しっかり伝えていく。思想の部分まで踏み込んでいくべき。
現場が欲しいダッシュボードと、ダッシュボード作りが上手な人が作るダッシュボードに差異があるのが課題だった。しかし、今回のセッションで現場がダッシュボードを作れるようにすることが遠回りのようで近道かもしれないと気づいた。
各社宣言取りまとめ。システムを点から面につなげていくこと。バラバラなデータを繋げていく事、人材を採用していくこと。バックオフィスの効率化。一方で人の尊厳を大事にする。
IT企業でもDXが進んでいない部分を外部システムを使って改善し、シェアしたい。まずは業務の現状把握をしっかりする。業務改革の意欲あるメンバーのモチベーションを上げる。プロセスの見える化をしていく。
【会社全体をDXする際の課題】属人化、人にしかできないこと、デジタルでできることの見極め。変化への抵抗感、失敗を恐れてしまう。【決意、目標】PDCAを計画的にする!共通認識を作る!戦略、体制を整える!AIとの相乗効果。DXでビジネスの集中、自社の強みを見つける!シンプルにして実行、経営者が宣言する!
DXのためには、人と人とのつながりを強め、意識改革を行う必要がある。従業員同士の対話の時間を増やしながら、オフラインも大切にしたハイブリットな環境を作っていく。
DXすることが目的になってしまっている。そして、自分がやった方が早いというので、属人化してしまう。解決としてのDXでナレッジを貯めていく部分と、口頭で伝える部分をわけていく DXの課題の一つは高齢化している経営層。若い人社員の間にどうDXを繋げて行くのか。必要なツール、活用出来るツールの見極め。AIも含む。
書類の電子化、顧客情報などのデータを共有・見える化を通じて生産性をあげ、創造的なことを考える時間を増やす。
営業DXにおいては「お客様を奪われるのでは?」的な導入への抵抗がある。ただDXやシステムは仕事を奪う敵ではない、仲間だ、自分たちを守るためなのだという考えの浸透につとめたいとのお話が印象的でした。
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