目次

  1. ラーメン店の経営とコストの特徴
  2. ラーメン店の倒産、過去最多を大幅に更新
    1. 倒産原因、最多は「販売不振」
    2. 倒産の8割、小・零細企業

 東京商工リサーチによると、ラーメン店は小規模での開業が可能で、他の専門料理店と比べて参入障壁は低いため、競争は激しいのが特徴です。そのため、出店後1年以内に閉店する店舗も半数近く存在するといいます。

 ラーメン店は、食材原価や人件費に加え、家賃・光熱水費・消耗品費などがかかります。ラーメンの原価率は30~35%が目安と言われていますが、コロナ禍が落ち着いた2022年以降、円安やウクライナ情勢を背景に、小麦などの原材料価格の高騰、光熱費の上昇、人手不足による人件費の高騰が顕著になっています。

 ラーメン店は急激なコスト上昇に見舞われる一方、競合店が多いため、1杯1000円が上限とされるなど価格設定の難しさがあると東京商工リサーチは指摘しています。

 東京商工リサーチは日本産業分類の「ラーメン店」の2023年4月~2024年3月の倒産を集計、分析しました。

 東京商工リサーチの調査レポートによると、2023年度のラーメン店の負債1000万円以上の倒産は、63件で、前年度の2.7倍に増加しました。これは過去最多だった2013年度の1.5倍で、過去最多を大幅に更新したといいます。

 原因別では、最多が「販売不振」の52件で、全体の8割以上を占めています。そのほかは「放漫経営」と「既往のシワ寄せ(赤字累積)」がそれぞれ4件でした。

 形態別では、「破産」が58件で全体の9割以上を占め、再建型倒産では「民事再生法」が前年度の1件から4件に増えています。

 資本金別では、「100万円以上500万円未満」が27件で最多で、次いで「個人企業他」が24件となっています。500万円未満の小・零細企業が8割以上を占めています。

 負債額別では、「1千万円以上5千万円未満」が43件で最多で、約7割を占めました。また、「5千万円以上1億円未満」が前年度の2件から15件に増加し、複数の店舗を運営する企業でも倒産が広がっています。