目次

  1. 貸借対照表に関する出題(令和5年度)
    1. 問題
    2. 正解と解説
  2. 理解に役立つコンテンツ
    1. 公認会計士が基本を解説
    2. 財務をめぐるトラブル事例
    3. 「さおだけ屋」著者が語る経理部門の重要性
    4. 後継ぎ自ら資金繰り表を作成

 今回は、令和5年度1次試験「財務・会計」から、貸借対照表に関する問題をピックアップしました。

 第8問
 貸借対照表の表示に関する記述として、最も適切なものはどれか。

ア 売掛金は、代金が回収されるまでの期間の長短にかかわらず流動資産に分類される。
イ 株式は、その保有目的にかかわらず流動資産に分類される。
ウ 棚卸資産は、決算日の翌日から起算して1年以内に販売されるものは流動資産に、1年を超えるものは固定資産に分類される。
エ 長期借入金は、時の経過により、返済期日が決算日の翌日から起算して1年以内となっても、固定負債に分類される。

中小企業診断士令和5年度1次試験問題「財務・会計」(出典:日本中小企業診断士協会連合会)

ア:正しい
イ:売買を目的としない株式は固定資産に分類
ウ:棚卸資産は正常営業循環基準に含まれるので、期間の長短に関わらず流動資産となる
エ:返済期日が1年以内の長期借入金は、一年基準(ワン・イヤー・ルール)が適用され、流動負債となる

正解:ア

 ここからは、貸借対照表など財務・会計の理解に役立つ、ツギノジダイのコンテンツを紹介します。

 初学者には、貸借対照表の基本を解説した記事がおすすめです。大手監査法人で株式公開支援・M&A業務に従事した公認会計士・税理士の田島照久さんが執筆しました。

貸借対照表とは?
貸借対照表とは?(デザイン:苗代澤真祐)

 貸借対照表が必要な理由や、損益計算書との違いのほか、前述の試験問題でも触れている売掛金、流動負債、固定負債に関しても、分かりやすく説明しています。

 専門家によるコラムでは、財務をめぐるトラブルの事例も解説しています。信用金庫で中小企業の融資相談に携わった経験を持つ池田孝行さんが、実例をもとに、後継ぎ経営者が事業承継前に、自社の財務状況を把握するためのポイントを整理しました。

 ツギノジダイ主催イベントの「中小企業リーダーズサミット」では、ベストセラー「さおだけ屋はなぜ潰れないのか?」の著者で、芸能文化税理士法人会長の山田真哉さんが、「中小企業のための経理IT効率化と戦略部門化」と題して講演しました。

 クイズも交え、これからの時代に求められる経理部門の重要性を分かりやすく解説しています。全30分の講演の一部を、テキストでお届けします。

 自らが先頭に立って、財務状況の改善を進める中小企業の後継ぎ経営者も増えています。田中工業所(岐阜県大垣市)5代目の田中佑子さんは、債務超過で倒産危機を迎えたのを機に、独自の資金繰り表の作成を始めました。

 銀行や公的機関と交渉しながら、資金繰りの工夫と改善に努めたことで、支出を減らして収益性を高めました。

 記事では、田中さんが資金繰り表作成で意識した三つのポイントなどを紹介しています。