目次

  1. 2024年の農林水産物・食品輸出額の全体像
  2. 2024年の輸出額増加に大きく貢献した品目一覧
    1. ソース混合調味料
    2. 緑茶
    3. 牛肉
    4. 清涼飲料水
    5. 菓子(米菓除く)
    6. りんご
    7. 米(援助米除く)
    8. 日本酒
    9. 醤油
    10. 味噌
  3. 輸出額の減少が大きい主な5品目
  4. 地域別の輸出状況
2024年1~12月農林水産物・食品の輸出額
2024年1~12月農林水産物・食品の輸出額

 農林水産省の「農林水産物・食品の輸出に関する統計情報」によると、2024年1~12月までの農林水産物・食品の輸出額は1兆5073億円に達しました。前年よりも533億円の増加となりました。

 月ごとの輸出額の推移を見ると、12月には1543億円と最も高い輸出額を記録し、前年同月比+22.1%と大幅に増加しています。各月の輸出額の内訳は以下の通りです。

1月:864億円(前年同月比+15.7%)
2月:1071億円(前年同月比▲1.6%)
3月:1191億円(前年同月比▲3.3%)
4月:1172億円(前年同月比▲6.1%)
5月:1067億円(前年同月比▲4.5%)
6月:1185億円(前年同月比▲5.8%)
7月:1143億円(前年同月比▲2.9%)
8月:1047億円(前年同月比+1.2%)
9月:1260億円(前年同月比+7.2%)
10月:1239億円(前年同月比+9.9%)
11月:1311億円(前年同月比+18.0%)
12月:1543億円(前年同月比+22.1%)

農林水産物・食品 輸出額の推移
農林水産物・食品 輸出額の推移

 品目別の輸出額では、ソース混合調味料、緑茶、牛肉、米などが2桁%の伸びを記録しました。関係者からの聞き取りでは、日本食レストランの増加、インバウンドによる日本食人気の高まり等を背景とした好調な外食需要のほか、事業者の販路拡大の取組等の進展が輸出増加の主な要因だったといいます。

 米国や韓国での日本式カレー人気やインバウンド需要により、外食需要が増加し、86億円増加(16%増)となりました。

 欧州での健康志向や日本食への関心を背景に、ラテやスイーツの原料としての需要が増加し、72億円増加(25%増)しました。

 認知度の向上により、米国、台湾、東南アジア、欧州などで商流が拡大し、70億円増加(12%増)しました。

 米国でのラムネ人気や香港での健康志向による緑茶飲料の需要増加により、38億円増加(7%増)しました。

 米国や香港で日本産デザインや味が評価され、36億円増加(12%増)しました。

 台湾での食味の良さに対する需要が堅調で、34億円増加(21%増)しました。

 米国や香港での日本食レストラン増加により、外食需要が増加し、26億円増加(28%増)しました。

 米国での日本食レストラン増加やインバウンド需要、現地在庫解消により、24億円増加(6%増)しました。

 EUやタイでの日本食レストラン増加やインバウンド需要により、21億円増加(21%増)しました。

 米国での日本食レストラン増加やインバウンド需要により、12億円増加(25%増)しました。

 一方、輸出額の減少が大きかったのが、中国のALPS処理水海洋放出に伴う輸入規制により、なまこ(調製)が64億円減少(38%減)、ホタテ貝(調製)も33億円減少(16%減)となりました。

 このほか、ウイスキーは、定義厳格化による事業者の撤退や原酒不足、中国景気低迷により、64億円減少(13%減)、真珠も香港での中国景気低迷に伴う加工用需要の減少により、44億円減少(10%減)となりました。

2024年の農林水産物・食品 輸出額(国・地域別)
2024年の農林水産物・食品 輸出額(国・地域別)

 国・地域別の輸出額を見ると、中国と香港は、水産物の輸入規制の影響で輸出額が大幅に減少しています。しかし、米国、台湾、韓国、ベトナム、タイ、EUなどが高い伸びを示しています。

 主要な輸出先と、その増減は以下の通りです:

米国: 2429億円(前年比+17.8%)、ホタテ貝、牛肉、日本酒の輸出が増加
台湾: 1703億円(前年比+11.2%)、りんご、ホタテ貝、牛肉の輸出が増加
ベトナム: 862億円(前年比+23.7%)。ホタテ貝、植木等、牛肉の輸出が増加
中国: 1681億円(前年比▲29.1%)、ホタテ貝(生鮮等)、ウイスキー、なまこの減少が著しい。
香港: 2210億円(前年比▲6.6%)、真珠、ホタテ貝(調製)などの減少が目立つ。

 このほか、チリも、魚油の原料であるカタクチイワシのペルー沖での漁業解禁により、日本産魚油への需要が減少したといいます。