問:「魚の骨」と呼ばれる図表は? 中小企業診断士試験に学ぶ品質管理
「QC7つ道具」と「新QC7つ道具」は、品質保証・品質管理に欠かせない図表で、製造業だけでなくサービス業など幅広い業種で活用できます。これらをテーマにした中小企業診断士試験の問題と解答に加え、中小企業の品質管理や生産性向上に役立つ関連記事を紹介します。
「QC7つ道具」と「新QC7つ道具」は、品質保証・品質管理に欠かせない図表で、製造業だけでなくサービス業など幅広い業種で活用できます。これらをテーマにした中小企業診断士試験の問題と解答に加え、中小企業の品質管理や生産性向上に役立つ関連記事を紹介します。
今回は令和4年度1次試験「運営管理」から、「QC7つ道具」と「新QC7つ道具」に関する問題を取り上げます。
第11問
QC7つ道具と新QC7つ道具に関する記述として、最も適切なものはどれか。
ア 管理図は、時系列データをヒストグラムで表した図である。
イ 散布図は、不具合を原因別に集計し、件数が多い順に並べた図である。
ウ 特性要因図は、原因と結果、目的と手段などが複雑に絡み合った問題の因果関係を表した図である。
エ パレート図は、項目別に層別して出現頻度の高い順に並べるとともに、累積和を表した図である。
オ 連関図は、原因と結果の関係を魚の骨のように表した図である。 中小企業診断士令和4年度1次試験問題「運営管理」(出典:日本中小企業診断士協会連合会)
ア 管理図は、データのバラツキを確認するために用いられる折れ線グラフ。連続した観測値もしくは群のある統計値を、時間順またはサンプル順に打点したもので、中心線(CL)、上側管理限界線(UCL)、下側管理限界線(LCL)をもつ。時系列をヒストグラムで表したものではない。
イ パレート図の説明であるため不適切。散布図は二つの特性を縦軸と横軸にとり、観測値に点を打つことで、相関関係の度合いを調べるために用いられる。
ウ 複雑に絡み合った問題の因果関係を表した図は、連関図であるため不適切。特性要因図の内容は、選択肢オの解説を参照。
エ 正しい。
オ 特性要因図の説明であるため誤り。原因と結果の関係を大中小の矢印を使って系統的に整理し、魚の骨の形に似ていることから、「フィッシュボーン図」とも呼ばれる。
正解:エ
QC7つ道具と新QC7つ道具については、中小企業診断士の資格を持つ小泉岳利さん(小泉コンサルティングオフィス代表)が、解説記事を提供しています。
各図表の概要を説明するとともに、企業経営における具体的な活用シーンについても掘り下げています。
例えば、前述の試験問題で登場した「パレート図」の活用例について、以下のように紹介しています。
品質向上につながる生産管理に取り組み、成果を上げている後継ぎ経営者の事例も紹介しています。
冷凍冷蔵庫の防熱扉の設計・製造・販売・施工を手がける岸産業(大阪府堺市)は以前、生産管理がずさんで、工数や材料費、製作や施工にかかる日数などの見積もりを職人の経験や勘に頼り、どんぶり勘定でした。
3代目の岸晃広さんは生産管理システムの導入を決め、従業員が扱いやすいシンプルな製品を選びます。導入してからしばらくの間は「使い方が分からない」という声がありましたが、根気よく説明し、次第に使う人が増えていきました。
また、年間の利益率トップ20とワースト20の案件を発表。負担がかかる部門が明らかになったことで、手の空いている他部門が応援にまわるようにもなり、良きコミュニケーションが生まれます。話し合いの場は生産会議という定例のミーティングとなりました。
かつて100時間もあった残業時間は約20時間に減少。業務の効率化も進んだことで、防熱扉の年間生産枚数は400枚から1000枚に増えました。
JTで工場長を務めた野添平治さんは、中小製造業の再生請負人として工場運営の改善に取り組んでいます。インタビューで具体的な事例を交えながら、製造業の生産性を高めるためのポイントを挙げました。
野添さんが工場を訪ねた際は、設備ではなく従業員の動き方を見ているそうです。「特にチェックしているのは歩き方ですね。他の従業員と違う動きをしている従業員は、ダラダラ歩いていたり、逆に走ったりしています。一方、効率的に作業をこなす従業員は、無駄なくスッと歩いています」と話します。
また、生産性改善の事例として、屋根材の板金加工を行う北海道の会社の事例を紹介しました。その会社では地域柄、夏場に仕事が集中し、冬場はほとんど注文が来ません。しかし、暦通りの勤務カレンダーになっていたので、夏場は休日出勤と長時間の時間外勤務が行われていました。
野添さんは具体的な改善方法について、次のように語りました。
1年間の変形労働時間制を採用し、生産量に比例した稼働カレンダーを作成しました。繁忙期は週6日稼働して1日の基準内労働時間を9時間に延ばし、冬場は週4日稼働で1日6時間に短縮しました。年間の労務費が激減したので、一部は従業員への賞与にしました。
同社は、屋根材の形状に合わせた加工機械を10台程度保有していましたが、一部の機械は経年劣化で、成型不良が頻発していました。成型不良品は廃棄損となり、再生産の材料費と人件費が必要となります。加工機械の修理代も無視できません。
ただ、同地区に同業者が3社いて、受注が重なると加工委託をしあう良好な関係にありました。各社とも加工機械については同様の悩みを抱えていたため、3社はそれぞれ劣化した加工機械を廃棄して、良品を作れる機械でお互いに委託加工しました。3社ともに利益が増える仕組みにできるよう助言しました。
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