目次

  1. 中小企業診断士とは
  2. 診断士試験の合格基準
  3. 「科目合格」を生かす
  4. 丸暗記から過去問演習へ
  5. 各科目の特徴と経営に生かせるポイント
    1. 企業経営理論
    2. 財務・会計
    3. 運営管理
    4. 経営法務
    5. 経済学・経済政策
    6. 中小企業経営・中小企業政策
    7. 経営情報システム
  6. 専門職と渡り合うための土台に

 【注】本記事は特定の教材や勉強法を勧めるものではありません。教材選びや勉強法は個人の判断でお願いします。記事で触れた合格基準や出題範囲、配点は、23年度試験の案内や問題に基づくものです。受験の際は、最新の情報をご確認ください。

 中小企業診断士は中小企業支援法に基づき、経済産業大臣が登録する国家資格です。試験を運営する一般社団法人中小企業診断協会は、診断士の役割を次のように定義しています。

 中小企業診断士は、企業の成長戦略策定やその実行のためのアドバイスが主な業務ですが、中小企業と行政・金融機関等を繋ぐパイプ役、また、専門的知識を活用しての中小企業施策の適切な活用支援等幅広い活動が求められています。

中小企業診断協会公式サイト

 試験は年1回行われ、経営全般の知識を問うマークシート方式の1次試験(7科目)、架空の企業に経営改善策などを提示する記述式の2次試験(4科目と口述試験)に分かれます。受験者数は右肩上がりで、23年度の1次試験は、10年前より約4400人多い1万8621人(全科目受験者)が受験しました。24年度は1次試験が8月3、4日、2次試験(筆記)が10月27日に行われます。

 1次は700点満点で、2次は400点満点。合格基準は1次、2次とも「総点数の60%以上で、かつ1科目でも満点の40%未満がないこと」などと定められています。従って、1次は420点、2次は240点が合格基準と計算できます(点数が40%未満の科目がない場合)。

 23年度の合格率は1次試験が29.6%、2次試験が18.9%でした。単純計算すると、最終合格率は約5%となります。23年度の2次試験合格者1555人の内訳を見ると、民間企業勤務が1043人(約67%)で最も多く、自営業者(経営コンサルタントや税理士なども含む)は102人(約7%)でした。年代別では30~39歳が最も多い546人(約35%)となっています。

 筆者はツギノジダイの編集者になるまで20年間、主に新聞記者をしていました。スポーツ現場や地方での取材が多く、経済専門の部署で経営の基本を体系的に学んだわけではありません。編集者としてスキルアップの必要性を感じ、診断士試験に挑んでいた当時の上司(22年度合格)に受験を勧められ、2021年4月から勉強を始めました。

 筆者が強くひかれたのは、経営に関する知識を網羅的に学べる点です。1次試験は、企業経営理論、財務・会計、運営管理、経済学・経済政策、経営法務、経営情報システム、中小企業経営・中小企業政策の7科目になります。各科目の特徴は後述しますが、業種をまたいで役立つ理論から実践的な知識までカバーしています。後継ぎの方はそれぞれ高いスキルをお持ちだと思います。それでも、すべての分野に通じている方は少数派でしょう。

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