マーケティング用語一覧 経営者の戦略づくりに寄与【重要度別】

マーケティングとは、顧客のニーズに応える商品やサービスを生み出し、その価値を顧客に伝え、購入してもらうための活動のことを指します。経営者として、マーケティングの基本的な知識を持つことは、事業戦略を策定し、競争優位性を確立する上で不可欠です。自社のポジションを確立するマーケティングに取り組みたい中小企業経営者に役立つ用語に絞って紹介します。
マーケティングとは、顧客のニーズに応える商品やサービスを生み出し、その価値を顧客に伝え、購入してもらうための活動のことを指します。経営者として、マーケティングの基本的な知識を持つことは、事業戦略を策定し、競争優位性を確立する上で不可欠です。自社のポジションを確立するマーケティングに取り組みたい中小企業経営者に役立つ用語に絞って紹介します。
「近代マーケティングの父」と呼ばれるフィリップ・コトラーは「マーケティングとは顧客のニーズに応えて利益を上げることである」と定義づけています。その後もマーケティングの定義については、時代の変遷とともに様々な機関・団体が解釈を出しています。
日本マーケティング協会は2024年に新時代に合わせたマーケティングの定義を発表しました。
マーケティングとは、顧客や社会と共に価値を創造し、その価値を広く浸透させることによって、ステークホルダーとの関係性を醸成し、より豊かで持続可能な社会を実現するための構想でありプロセスである。
日本のビジネス慣習を念頭に、「企業と顧客の価値共創」「ステークホルダーとの関係性の構築」といった視点をも盛り込んだそうです。
経営者がマーケティングに関する知識を身につけることで、集客・競合差別化・コンテンツマーケティング・SNS戦略づくりなどに役立ちます。
それでは重要度別にマーケティング用語を紹介します。たくさんあるマーケティング用語のなかでも、中小企業が大企業に負けないポジションの確立と、ファンを巻き込む戦略づくりに役立つ用語を中心に紹介します。
バイラルマーケティング(Viral marketing)とは、消費者同士が自発的に情報を共有することで、商品やサービスの認知を急速に拡散させるマーケティング手法です。ソーシャルメディアを活用して商品やサービスの認知を高める手法として、近年、注目を集めています。
ファンマーケティングとは、企業が提供する商品やブランドに対して支持や愛着を持ったファンを増やし、中長期的に売上を高めるマーケティングの手法です。
かつてのマーケティングは、テレビや雑誌などマスメディアへの広告によるブランド認知が中心でしたが、近年はWEBやSNSの発展によるコミュニケーションの変化、顧客が求める価値観の変化によってマーケティングの方法も変化しています。
UGCとは、User Generated Contentの略語で、「ユーザーが生み出したコンテンツ」のことです。
例えば、温泉旅行が趣味の人が、実際に宿泊した旅館の建物や温泉施設の写真を撮影し、FacebookやInstagramに投稿した場合、投稿された写真やツイートが旅館にとってのUGCになります。
旅館にとってはノーコストでコンテンツを配信してもらえ、認知が広がりブランディングにも効果的なので、大きなメリットになります。
ブランドマネジメントとは、企業や製品のブランドイメージを市場で一貫させ、消費者との信頼関係を築くための戦略的な取り組みを指します。具体的には、ターゲット顧客のニーズや行動の分析、ブランドの基盤構築、企業内外でのブランディング活動、ブランド戦略の進化と顧客関係の強化などが内包されます。
バリュープロポジションとは、顧客に提供する価値や利点を明確に示すために用いられるフレームワークです。「顧客が自社の商品やサービスを選ぶ理由」を指します。
バリュープロポジションは顧客が得られる利益や解決される課題を示しており、競合との差別化やターゲット顧客に対するメッセージの軸となり、購買意思決定を促進する重要な役割を持ちます。
CLV(顧客生涯価値)とは、1人の顧客が取引している期間に企業にもたらす収益の総額を指します。既存顧客を維持するためのリテンションや顧客獲得コストよりCLVが上回れば、事業を継続する価値があると言えます。
高いCLVを生む顧客セグメントを見いだせれば、顧客獲得施策の優先順位をつけやすくなります。
ランチェスター戦略とは、事業戦略において弱者と強者、それぞれの立場での戦い方を考える戦略論です。とくに中小企業が、大企業との戦いで勝ち残るための方法論として活用されています。
重要度:中に分類したマーケティング用語は、リソースに限りのある中小企業が利益を伸ばしたいときに採用しやすい戦略を中心に紹介しています。
アップセルとクロスセルは、顧客満足度を高めつつ企業の売上を増やす重要な戦略です。
アップセルとは、顧客に「もっといいものにしませんか?」と勧め、顧客がもともと予定していたものより高価で高機能な商品を、その付加価値を伝えながら販売する手法です。
逆に、クロスセルとは、顧客に「これも一緒にどうですか?」と勧めることで、顧客がもともと購入を予定していた商品やサービスに加えて、関連する別の商品やサービスを追加で購入してもらう手法です。
LTV(Life Time Value)とは、顧客生涯価値のことであり、企業が顧客と何度も取引して得られる収益の総額を示す言葉です。
中小企業の場合、とくに短期的な売上よりもLTVを重視する戦略と相性が良くなります。
STP分析とは、「Segmentation(セグメンテーション)」「Targeting(ターゲティング)」「Positioning(ポジショニング)」の3つの工程からなる顧客主導型マーケティングのフレームワークです。主に新商品やサービスを世の中に出すときに戦略の土台を考えるための手法で、BtoB・BtoCの両方に使えます。
STP分析の目的は、多様なニーズがある大きな市場をより小さな単位に分割し、そのなかから自社が最も収益を上げられそうな集団を特定して、そこにいる顧客と良好な関係性を築くことです。
ROI(投資対効果)とは、投資額に対する利益の割合を表します。マーケティングの分野でも活用されており、簡単に言うと「投資した分がどれだけのリターンを生み出すか」を測る指標になります。
リテンションとは「維持」や「保全」を意味する言葉であり、マーケティングでは「顧客リテンション」として使われています。顧客リテンションは、既存顧客との関係を強化し、顧客と長期的な関係を維持するための戦略や手法を指します。
新規顧客の獲得競争が激化し、既存顧客の維持と関係の深化が重要課題となっているなかで注目されています。
デマンドジェネレーションとは、受注につながる確率が高い有望な見込客を創出する、一連のマーケティング活動を指します。潜在顧客の需要を喚起することで、商品やサービスへの興味関心を高めます。
デマンドジェネレーションは、主に法人間取引(BtoB)で用いられており、現代のBtoBマーケティングでは欠かせない考え方となっています。略して「デマジェン」と呼ばれることもあります。
PPM分析とは、市場成長率(マーケットシェア)と市場占有率の二軸にもとづいて自社の事業・製品・サービスなどを分類する手法です。経営資源の最適な投資配分を決定することを目的としています。1970年代にボストン・コンサルティング・グループが提唱しました。
PPM分析を活用すると、事業や商品が市場に対してどの立ち位置にあるのかが明確になり、投資撤退の判断や投資配分についての検討が可能となります。
ポジショニングとは、マーケティング戦略の一環で、自社が市場においてどのような立ち位置(ポジション)を取るかを決めることです。具体的には、自社がターゲットに対してどのように差別化された価値を創造するかを決めるプロセスになります。
より端的にいえば、「お客さんに、どう優れていると思われたいか」を決めることで、そのために消費者の心のなかで「競合製品と比較してどのように認識されることを目指すのか」を検討していくことがポジショニングです。
プロダクトライフサイクルとは、製品やサービスが開発されて市場に登場してから衰退するまでをいくつかのステージに分けて、その特徴を体系的にまとめたフレームワークのことです。
サンクコスト(埋没費用)とは過去に負担し回収できない費用のことです。金銭的なものだけでなく、費やした時間や労力なども含まれます。
ビジネスにおけるサンクコストの具体例には、新規事業のための研究開発やマーケティングなどに会社や社員が費やしたお金、時間、労力などが該当します。これらのコストの多くは、新規事業の中止を判断した時点でサンクコストとなります。
アンカリング効果とは、はじめに提示された情報を基準点(アンカー)とし、ほかの情報を評価・判断する心理学的な現象です。認知バイアスの一種で、はじめに提示された情報が、あとの判断に大きな影響を与えます。アンカーとは、船を停泊するときに使う「いかり」のことです。
たとえば、不動産業者が購入希望者に「この物件の相場価格は7,000万円ですが、即決いただければ5,000万円でお譲りできます」と最初に高い金額を提示した後、実際の価格を提示するといった使い方をします。
マーチャンダイジング(Merchandising)とは、来店した顧客に商品を購入してもらうために必要な活動全般のことを指します。日本語では、一般的に「商品化計画」や「商品計画」と訳され、主に小売業で用いられる用語です。
マーチャンダイジングの目的は、顧客の購買意欲を引き出すために、ニーズに合った的確な商品を供給することです。
重要度:低に分類したマーケティング用語は、マーケティングの基礎となる用語を集めています。知っている用語でも改めて見直すことで新たな発見につながるかもしれません。
値付けは、商品やサービスのコンセプトに直結し、企業そのもののブランディングにもかかわります。そのため、慎重かつ戦略的におこなわなければならず、商品やサービス開発において最も難しいタスクの一つです。
売上予測は、過去の売上実績や顧客動向などの客観的なデータをもとに、将来における特定期間の売上を予測することです。
売上予測はヒトやモノ、カネといった経営資源の適切な配分や、事業の目標設定に大きな影響を与えます。上場企業の場合には、投資家に対する事業成長に関する説明にも利用されます。
そのため、売上予測は企業の経営戦略を立てるうえで欠かせない指標であるとともに、投資家や金融機関などに対しても重要な役割を果たしています。
事業ドメインとは、企業が展開する事業領域やその分野、範囲などを明示したものです。
特定の業界、市場、製品、サービス、顧客層など、組織の事業活動が焦点を当てる範囲や領域を指す概念で、「どの顧客に、どのような価値を、どのような方法」で提供するかを定義します。
ドミナント戦略とは、チェーンストアなどが限定された地域内に集中して出店(ドミナント出店)し、その地域での高いシェアを狙う戦略のことです。「ドミナント」とは「支配的な、最も有力な、優勢な」を意味する言葉で、ドミナント戦略による出店を「ドミナント出店」といいます。
ドミナント戦略は、スーパーやコンビニエンスストア、外食チェーンなどで採用されています。
セグメントとは、市場を細分化することであらわれた集団やまとまりのことです。
どのような市場でも、購買者の置かれた状況、ニーズ、購買習慣は同じではありません。市場すべての購買者に等しくアピールすることは、多くの企業にとって困難になってきています。
成功している企業の多くは、多様なニーズがある大きな市場を、より小さな単位のセグメントに分割し、そのなかから自社が最も収益をあげられそうな集団を特定して、そこにいる顧客と良好な関係性を築くマーケティングのやり方に移行しています。
エスノグラフィーとは、調査対象者の生活の場に実際に身をおいて、行動を共にしながら観察して記録する調査手法のことです。定性調査の一種になります。
バリューチェーンとは「価値連鎖」と訳され、企業の各部門の活動を価値の連鎖として考えるフレームワークです。ハーバードビジネススクール教授で経済学者でもあるマイケル・ポーターによって提唱されました。
この各部門それぞれの活動(機能)において、「どのような価値が生み出されているのか」「コストはどれくらい発生しているのか」「強み・弱みは何か」などを、詳細に分析する方法をバリューチェーン分析といいます。
OMO(Online Merges with Offline)とは、オンラインとオフラインを融合させながら顧客の体験価値を高めていくマーケティング戦略です。顧客情報を効率よく収集し、リピート率の向上につなげられるメリットもあります。
競合分析とは、自社と似たような商品やサービスを展開する組織を特定し、その脅威度、強みや弱み、自社との違いを分析することです。
単に特定のライバル企業の情報収集をするだけではなく、市場に存在する複数の競合他社を対象に分析して、市場全体の構図を把握します。
「市場規模」とは、一定期間に、ある事業分野において取引された金額や、販売された数量を指します。平たく言えば、業界全体の総売上、ということになります。
市場規模は、新規事業を立ち上げるときには、どの程度の売り上げが見込めるかを推定するための基礎的な情報です。
「市場調査」とは、企業が商品やサービスの開発・販売をするにあたってより良い事業判断をするために、市場を理解することです。
「市場」には、顧客・ターゲットユーザーだけでなく、競合他社や業界全体の動向も含まれます。
成功している企業の多くは、市場調査によって世の中で求められていることを客観的に理解し、その情報を元にして商品開発をしたり、価格や販売方法、マーケティング活動の方針などを決定したりしています。
顧客満足度は、顧客が商品やサービスを購入したり体験する前に抱く事前期待と事後結果との差を表したりしたものです。
これまでは満足だった商品やサービスも他社比較によって顧客の期待値が上がり、満足度にマイナス影響を受けることは日常茶飯事です。
そのため、顧客心理を捉えながら常に顧客の満足度を定量化し、伸ばすことができれば、顧客満足度向上の施策は成功と言えるでしょう。
ユーザビリティテストとは、開発中の製品・サービスをユーザーに利用してもらい、より優れたUI/UXを目指す方法です。
リリース前の製品・サービスの特性に合わせてテスト内容を決め、実際にユーザーに製品・サービスを利用してもらい、そこで得られた気付きを改善につなげます。
SEOとは、「検索エンジン最適化」を意味するSearch Engine Optimization(サーチ・エンジン・オプティマイゼーション)の頭文字をとった略称です。
簡単にいうと、ウェブサイトの検索エンジン結果ページでの表示順位を向上させる技術だと言えます。
経済産業省の知的財産経営マニュアルによると、SWOT分析とは、企業の強み(Strength)、弱み(Weakness)、機会(Opportunity)、脅威(Threat)について分析し、全体的な評価を行う手法のことで、強みと弱みは主として企業の内部要因を分析(内部環境分析)、機会と脅威は同様に企業の外部要因の分析(外部環境分析)を行うものだといいます。
マーケティングミックス(4P)とは、製品(Product)、価格(Price)、場所(Place)、プロモーション(Promotion)の4つの要素からなるマーケティング戦略の枠組みのことを指します。これら複数の要素を組み合わせてマーケティング戦略を立案し、実行することが大切です。
おすすめのニュース、取材余話、イベントの優先案内など「ツギノジダイ」を一層お楽しみいただける情報を定期的に配信しています。メルマガを購読したい方は、会員登録をお願いいたします。
朝日インタラクティブが運営する「ツギノジダイ」は、中小企業の経営者や後継者、後を継ごうか迷っている人たちに寄り添うメディアです。さまざまな事業承継の選択肢や必要な基礎知識を紹介します。
さらに会社を継いだ経営者のインタビューや売り上げアップ、経営改革に役立つ事例など、次の時代を勝ち抜くヒントをお届けします。企業が今ある理由は、顧客に選ばれて続けてきたからです。刻々と変化する経営環境に柔軟に対応し、それぞれの強みを生かせば、さらに成長できます。
ツギノジダイは後継者不足という社会課題の解決に向けて、みなさまと一緒に考えていきます。