目次

  1. 事務作業効率化にIT化は有効だが注意も必要
  2. 事務作業効率化のためのITツール3選
    1. RPA
    2. グループウェア
    3. オンライン会議システム
  3. IT化の検討前に考えたい「ECRSの原則」
    1. 「ECRSの原則」を使った事務作業の整理とは
    2. 「ECRSの原則」は「ないじゅか」で活用を
  4. ベテラン勢から反発を買わないための方法とは?
  5. ワークショップとIT化
  6. まずはワークショップから

 事務作業の現場にもIT化の波は間違いなくやってきます。

 労働人口の減少に採用難など、今後ますます加速していく人手不足に対応していくためにも、今から事務作業のIT化の検討を始めていくことも重要です。

 一方で、慌てて事務作業のIT化を進めたことにより、現場の混乱や業務が逆に繁雑になり非効率になってしまう場合なども見受けられます。

 今回の記事では、事務作業の効率化に有効なツールと、事務作業効率化を有効に進めるための方法を中心に紹介していきます。

 業務効率化に有効なITツールとしては①RPA、②グループウェア、③リモート会議システムなどが挙げられ、それぞれの特徴を簡単に説明します。

 RPAとは、Robotic Process Automation(ロボティックプロセスオートメーション)の略語で、パソコンを用いた事務作業などを自動化できるソフトウェアです。

 RPAは判断を必要としない単純な反復作業を得意としています。逆にアクシデントや例外的な処理には弱いといった弱点もあります。

 そのため、単純な反復作業に時間をとられている場合などには有効です。

 代表的なRPAツールには、次のようなものがあります。

 グループウェアとは、社内の情報や仕事の情報などの情報共有を行うソフトウェアです。

 その内容は多岐にわたり導入するものにもよりますが、例えば、スケジュール管理や文書管理、ToDo管理からワークフローシステムやオンラインまで、他にも状況に応じて様々な機能を導入できます。

 以下、代表的なグループウェアです。

 コロナ禍によるリモートワーク等の普及により、オンライン会議やオンライン面談なども一般的になってきました。

 インターネットさえ繋がれば、どこからでも行えるオンライン会議システムは、事務作業の現場でも活用し効率化できる場面も多々あることでしょう。

 また、オンライン会議システムはグループウェアの一部として導入ができる場合もあります。

 代表的なオンライン会議システムを3つ、あげておきます。

 いずれのツールにおいても基本的にはパソコン等の利用が前提となる場合がほとんどです。

 そのため、現在の事務作業の現場は手作業が多く、パソコンが苦手な従業員が多い等の事情がある場合には注意が必要となります。

 現場と相談等を行いながら、簡単に使えるもの徐々に導入を検討していくことが重要です。

 現場と乖離した事務作業の効率化を行わないためには、まずは「ECRS(イクルス)の原則」を利用して事務作業を見直していくことが有効となります。

 「ECRSの原則」を利用した事務作業の見直しは、IT化によらない事務作業の効率化にも有効なのでお勧めです。また特別な道具も必要ないため今すぐにでも行うことが可能です。

 私の知る企業でも、「ECRSの原則」を利用したことで業務改善の優先順位が明確になり、効率的に事務作業の効率化が進んだケースもあります。

 「ECRSの原則」とはE(Eliminate:排除する)、C(Combine:組み合わせる)、R(Rearrange:組み替える)、S(Simplify:簡素化する)の頭文字をとったものであり、E→C→R→Sの順で現在の業務を見直していきます。

 以下、それぞれの内容をもう少し詳しく述べていきます。

①E(Eliminate:排除する)
 業務効率化の第1ステップはEliminate(排除する)です。つまり“ムダな業務をなくす”をことから始まります。現在の事務作業で従来から行っているが、本当は必要ない業務はないでしょうか。もしあるのであれば、先ずは“ムダな業務”をなくすことから始めていきましょう。

②C(Combine:組み合わせる)
 第2ステップはCombine(組み合わせる)です。これは、“一緒にできる業務”はないかを検討し、まとめて行った方が効率的な業務があれば、まとめて行うようにしていきす。

③R(Rearrange:組み替える)
 第3ステップはRearrange(組み替える)です。これは、“業務の順番を変えた方が効率的な部分はないか”を検討していくプロセスとなります。例えば、従来はA→B の順で行っていたが、B→Aの順で行った方が効率的にならないかといった形で検討をしていきます。

④S(Simplify:簡素化する)
 第4ステップはSimplify(簡素化する)です。ここでは、現在の業務を“簡単にできないか”を検討していきます。習慣的に行っている業務でも少しの工夫で簡単にできるものは意外と多いものです。

 「ECRSの原則」は、その順番通りに検討をしていくことで、大変効果を発揮します。しかし、日常的に意識するには、少し覚えにくいと感じられるかもしれません。

 そんな場合は、「な・い・じゅ・か(内需化)」の語呂合わせが覚えやすいかと思います。

 「な・い・じゅ・か」は、「ECRS」の内容を以下のように言いかえて頭文字を取った言葉で、私が中小企業診断士試験の勉強していた頃にも活用していた語呂合わせです。

  1. E(Eliminate:排除する)→な:なくせないか
  2. C(Combine:組み合わせる)→い:一緒にできないか
  3. R(Rearrange:組み替える)→じゅ:順番を変えられないか
  4. S(Simplify:簡素化する)→か:簡単にできないか

 つまり、従来の業務を行うにあたり、「①なくせる業務はないか→②一緒に行える業務はないか→③順番を変えた方が効率的な業務はないか→④簡単にできる業務はないか」の順で事務作業の効率化を考えます。

 このような視点が従業員の中で浸透し、日常の業務の中で活用できるようになると、自然と業務改善を続けられる風土も広がってくることでしょう。

 「ECRSの原則」に限った話ではありませんが、現場で意識する点がわかることで業務改善が続く風土へと変化していくケースは多くあります。

 業務改善を行う上で重要なことは、従業員が一丸となって行うことです。

 ITを活用にするにせよ、活用しないにせよ、どれだけ良い改善計画ができても、その業務を行う従業員が実行をしないことには意味がありません。

 どれだけ良い計画でも今まで行ってきたことを急に変更することに抵抗を覚える人は多いものです。

 特に長くその業務を行ってきたベテランの従業員がいる場合は尚更です。

 無理に業務効率化を進めることで現場が混乱し、より業務が非効率になってしまうことも考えられます。

 そうならないためには、現場の従業員も交えたワークショップを行うなど、実際に効率化する業務を行う従業員も巻き込みながら事務作業の効率化を進めていくことが有効です。

 ワークショップを行う際にも、上記の「ECRSの原則」の視点を活用するといいでしょう。

 どのように活用するかといえば、①E:Eliminate(なくせないか)→②C:Combine(一緒にできないか)→③R:Rearrange(順番を変えられないか)→④S:Simplify(簡単にできないか)の順番で意見を出し合いながら検討を進めていきます。

 その際には新人、ベテラン関係なく自由に意見を出し合える環境をつくり、自由に意見を出し合うことが重要です。

 このようにワークショップなどを行い従業員同士で効率化を検討することで、現場が納得し業務効率化を行うことができ、机上の空論ではない実践的な効率化が可能になります。

 そうすることで、新たなツールの導入など費用を掛けずに事務作業の効率化が可能になる場合も多々あります。

 先にITツールの導入による事務作業効率化も触れましたが、ワークショップ等で検討をしていく中でIT化した方が効率的な業務が出てくる場合ももちろんあります。

 その場合は、事務作業のIT化も積極的な検討もお勧めします。

 ITツールの導入するにあたっても、先ずは現在の業務を「ECRSの原則」で見直して、ITに置き換えた方が効率化できる事務作業がないかを検討することで、ムダにならないIT化が可能です。

 また、業務のIT化については、IT導入補助金などの国の補助金制度などもあるので、検討をしても良いでしょう。

 事務作業は少しやり方を変えるだけで、驚くほど効率的になる場合もあります。

 また、ITを導入し、人が行っていた作業がITに置き換わることで、人財を本当に必要な箇所へ配置することも可能となります。

 事務作業の効率化に限らず、従来のやり方を変えるには費用面、従業員の反発など、多くの懸念事項も出てくるかと思います。

 そのようなときは、先ずはワークショップなどからでも、簡単に行えることから始めてみることをお勧めします。

 小さな気づきの積み重ねが大きな変化のきっかけになることも多いものです。