目次

  1. 未来の生産性こそが大事
  2. かっこいい農家を目指す
  3. 学んでいる社長の背中を見せる
  4. お坊ちゃんで何が悪いの

 さいたま市の日本電鍍(でんと)工業の社長、伊藤麻美さんは、父が社長を務めていた会社を32歳で引き継ぎました。経営は火の車でしたが、人員削減はせず、徹底した経費削減と、医療用カテーテルなど新規分野への進出で立て直しました。

従業員と話す伊藤麻美社長(右から2人目、2017年撮影)

 「人は財産」という伊藤さんは、朝礼の後、必ず会議をしています。不良品が出た理由の究明、営業戦略、経済社会状況などを議論。社員に徹底的に考えさせ、発言させています。「議論を通じて社員に実力がつけば、いずれ新事業を見つけ、生産性を上げてくれる。未来の生産性こそが大事なのです

 三重県伊賀市で「瑞雲ファーム」を経営する中井奈緒美さんは、アスパラガスを栽培していた義父の急死をきっかけに、専業主婦から農家になりました。

 ファッションにこだわる中井さんは、カラフルに染めた髪をバンダナでお団子にまとめて、耳には大きなピアスを付け、自社のロゴ入りTシャツという格好で農作業に汗を流しています。継いだ直後は「あんな嫁に農業ができるわけがない」という心ない声に、涙したこともありました。

「かっこいい農家」を目指す中井奈緒美さん

 それでも、以前は農業に「ダサい」「汚い」「もうからない」という印象を持っていたからこそ、おしゃれな格好で作業を行う「かっこいい農家を目指す」と誓いました。

 中井さんは、パッケージやデザインにこだわったアスパラガスを出荷しています。アスパラガスのお茶を開発したり、菌床シイタケの栽培に乗り出したりして、テレビや新聞などの取材も急増。売り上げは初年度の3倍になりました。「全国に自慢できるアスパラガスを伊賀から発信して、豊かな自然を次の世代につなげていきたいです」とますます意欲を燃やしています。

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