目次

  1. はじめに
  2. 知的財産権の基本
    1. 製品をまねされないために
    2. 知的財産権の保護対象
    3. 知的財産権の代表的権利
  3. 商標の登録要件とは
    1. 商標の登録方法
    2. 登録できない商標とは
  4. 商標登録を知らずに失敗した事例
    1. A社長の事業概要
    2. 「赤ちゃん用爪切り」を開発
    3. 模倣されて売り上げが頭打ちに
    4. 商標未登録で失われた商機
  5. スペシャリストに早めの相談を

 前回は商標登録の重要性について説明しました。今回は承継した事業を守るために役立つ知的財産権を紹介しつつ、登録可能な商標の要件について説明します。

 「私の会社の方が最初に作ったんだ。他の会社はうちのをパクっただけなのに。なんでこんなことになってしまったのか…」

 これは、筆者のクライアントである刃物工場の後継ぎA社長の言葉です(※この事例の詳細は、記事の後半で解説します)。

 読者の皆様の中には、A社長と同じように他社から製品をまねされた経験をお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。多くの経営者は事業を維持・発展させるため、商品開発や新たなサービスの提供、売り上げを伸ばすための営業手法の確立、業務改善ツールの運用など様々な活動をしています。

 しかし、こうした努力にただ乗りしようとする者がいることも事実です。何か対策を講じることはできないのでしょうか。

 このような「創造的活動」によって生み出されるものは、形ある「物」ではなく「財産的価値のある情報」であり、情報は容易に模倣されやすいという特性があります。そこで我が国では、これらを「知的財産」として保護し、創造活動した者に「知的財産権」を認めているのです。下の図を見ていただくと、様々な対象物を保護しようとしていることがわかります。

知的財産の種類(出典:特許庁ホームページ https://www.jpo.go.jp/system/patent/gaiyo/seidogaiyo/chizai02.html)

 「発明」や「著作物」は「知的財産」の代表格ですが、それ以外にも「デザイン」や「営業秘密」など事業の維持・発展に不可欠な知的財産も保護対象となっています。それでは、知的財産権の中で、いくつか代表的な権利を紹介します。

(続きは会員登録で読めます)

ツギノジダイに会員登録をすると、記事全文をお読みいただけます。
おすすめ記事をまとめたメールマガジンも受信できます。