【写真特集】中小企業を引っ張る女性リーダーたち
女性管理職の増加が社会的な要請となる中で、中小企業の後継ぎやリーダー層として経営を引っ張る女性も目立つようになりました。ツギノジダイでこれまで取り上げた事例の一部を、写真特集として紹介します。
女性管理職の増加が社会的な要請となる中で、中小企業の後継ぎやリーダー層として経営を引っ張る女性も目立つようになりました。ツギノジダイでこれまで取り上げた事例の一部を、写真特集として紹介します。
福島県天栄村のアルファ電子は、電子機器や医療機器の組み立て・製造を行う会社です。3代目の樽川千香子さんは、震災、離婚、シングルマザーの経験を経て社長に就任しました。倒産危機にあった会社を立て直し、持続可能な形を目指して異業種に参入。米粉を使った「う米(まい)めん」を開発し、着実に売り上げを伸ばしています。
名古屋市中区の有限会社ノヨリは、仏壇や寺社の装飾に使われる錺金具(かざりかなぐ)を手作業で作る会社です。参拝客の減少など、寺社を取りまく変化に危機感を持ったという3代目の野依祐月(のより・ゆづき)さんは、アパレル会社勤務などを経て家業に戻りました。父の克彦さんが立ち上げたアクセサリーブランド『和悠庵 -wayuan -』のデザインや販売方法をアップデートし、若い世代への売り上げを伸ばしています。
埼玉県越谷市の中島プレス工業は、やわらかな素材の型抜き加工技術を強みとする町工場です。2代目の小松崎いずみさんは、35歳で社長に就任した後、事務所の焼失やリーマン・ショックなどの危機に直面します。それでも素材加工の技術力を生かした自社商品開発に乗り出し、形状記憶不織布で折られ、折り目を解いてもすぐに元通りになる「おくり鳩」を開発。その技術で特許を取得し、年間5万羽以上を出荷するまでに成長させました。
1895年創業の小倉織物株式会社(石川県小松市)は、絹織物の中でも特に繊細で、高度な技術を必要とする後染め洋装のシルクジャカードを織ることができる、日本でほぼ最後の会社です。売上減少・職人の高齢化・後継者不足・繊維業界の衰退・工場の老朽化など、問題は山積みのなか、社長である父を助けようと姉妹が立ち上がります。県外在住、家業にガッツリ入っていなくても、家業のピンチを救うことはできると、断言する2人。クラウドファンディングやSNS戦略などで、知名度と売上アップに奮闘しています。
神奈川県小田原市にある創業65年の老舗物流会社「まるだい運輸倉庫」は、2014年ごろに多額の負債を抱え、深刻な経営難に陥りました。当時、社内の内部分裂により社員の心はバラバラの状態でした。4代目社長・秋元美里さんは、「自分の家族が入社したいと思える会社にしたい。そのために力を貸してほしい」と繰り返し伝え続け、一体感とワクワク感を生み出す改革により、倒産危機だった家業を立て直しました。
三重県伊賀市の山里にある福岡醤油店は128年に渡り、こだわりの製法でしょうゆを造り続け、海外進出も果たしています。4代目社長の川向美香さんを支えるのは、佐和さん、伶実さん、志季さんの娘3人です。シンガポールを拠点とした海外展開のほか、製造、営業などそれぞれの得意分野を生かしながら、事業成長を加速させています。
京都市下京区で、大正2年から扇子の製造卸業を行う大西常(おおにしつね)商店。大企業から家業に戻った4代目の大西里枝さんは、季節商売のビジネスモデルに危機感を覚えます。試行錯誤のすえ、扇子の骨を利用したルームフレグランスを開発し、第二の柱に育て上げました。
インタビューに応じる樽川千香子さん
福島県天栄村にある、アルファ電子の本社工場
アルファ電子の工場設備(同社提供)
う米めんの調理例。パスタのように楽しむことができる(アルファ電子提供)
う米めん(玄米麺)875円(左)と、う米めん(白米麺)777円(右)
アルファ電子3代目の樽川千香子さん
インタビューに応じる樽川千香子さん
ノヨリ3代目で錺(かざり)金具師の野依祐月(のより・ゆづき)さん(写真はすべて同社提供)
アーティスティックスイミング演技中の祐月さん
職人の技術が光る美しい錺金具の装飾
祐月さんがデザインを手掛けた、和悠庵のバングル。尾張仏具の技術で美しい模様が刻まれています
ラッキーアンドカンパニーとのコラボで祐月さんが製作したバングル。錺金具の細かな彫金と美しい石を組み合わせています
ノヨリの工房の様子
錺金具を制作中の祐月さん
錺金具制作に使用する鏨(たがね)
念願のラシックに出店(2022年11月、名古屋市)
工場長と打ち合わせする小松崎さん
「おくり鳩」を持つ小松崎さん
小松崎さんは火災を機に地域との連携を深めました
布生地の形状記憶技術で家業を成長させた中島プレス工業2代目の小松崎いずみさん(右)と息子の晃さん
「おくり鳩」と同じ技術を生かした「ORU-KOTO」
中島プレス工業が開発した「おくり鳩」
女性従業員が製造現場で活躍しています
小倉理枝さん(左)と妹の有紀さん
小倉織物の小倉久英社長(中央)と娘の理枝さん(左)と有紀さん。
小倉織物のInstagram
スカーフから浮き上がって見える生地そのものが、ジャカード織り
TOKYO2020オリンピックの公式スカーフ製作
平均年齢70歳の職人たちは会社の宝物
小倉織物の工場の様子
神奈川県小田原市にある創業65年の老舗物流会社「まるだい運輸倉庫」4代目社長・秋元美里さん(写真中央)。女性の積極採用に取り組んでおり、社員260人のうち66人が女性。同時に男性にも働きやすい職場づくりも目指しており、男性の育児休業の取得実績がある(写真はいずれもまるだい運輸倉庫提供)
まるだい運輸倉庫で活躍している女性たち
秋元社長の誕生日会の様子。組織改革により一体感が生まれ、チーム力も高まった
まるだい運輸倉庫4代目の秋元美里さん
まるだい運輸倉庫のトラック保有台数は100台以上。
4代目社長として蔵を引っ張る川向美香さん
福岡醤油店の次代を担う3姉妹。左から三女・川向志季さん、長女・佐和さん、次女・伶実さん
シンガポール支社の責任者を務める長女の佐和さん
初の女性蔵人としてしょうゆ製造に従事する次女の伶実さん
営業職として発信にも力を入れる志季さん。レシピやPOPなどの印刷物もつくります
福岡醤油店の看板商品「はさめず」。定番の「こいいろ」のほか「うすいろ」、「さしみ」用があります
家族が力を合わせて、伝統の味を守り発展させ続けていく決意です
京町屋の社屋前に立つ、大西常商店4代目の大西里枝さん
大西常商店の店内(同社提供)
大正2年の帳簿が残る、伝統ある京町屋が社屋です(大西常商店提供)
社屋である京町屋。レンタルスペースも行っています
コロナ禍では、約700種類取り扱っている京扇子の売上が減少しました(同社提供)
季節のうつろいが感じられる大西常商店の中庭(写真はすべて同社提供)
季節のうつろいが感じられる大西常商店の中庭
大西常商店の社屋である京町屋
大西常商店の社屋である京町屋
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