【写真特集】シミ抜き洗剤も積み木もヒット EC戦略に成功した中小企業
シミ抜き洗剤、伝統の漆器、かつお節、積み木、じょうろ…。価値ある商品を巧みなEC戦略で広げ、事業成長につなげた中小企業の事例を写真特集で紹介します。
シミ抜き洗剤、伝統の漆器、かつお節、積み木、じょうろ…。価値ある商品を巧みなEC戦略で広げ、事業成長につなげた中小企業の事例を写真特集で紹介します。
衣料洗剤の製造販売やクリーニングを手がけるハッシュ(東京都大田区)代表の浅川ふみさんは、東京・大井町で50年以上続くクリーニング店の3代目でもあります。シミ抜きに失敗して顧客から怒られたのをきっかけに7年にわたって技術研究を重ね、酵素の力でシミを分解するオリジナルの洗濯洗剤「スポッとる」を開発しました。ECなども使って自力で販路を開き、累計販売は70万個を突破。今も家業のクリーニング店で働きながら、店での気づきを新商品の開発につなげています。
「紀州漆器」の一大産地で知られる和歌山県海南市の三好漆器は1911(明治44)年の創業以来、漆(うるし)塗りをはじめとした製造卸業を営みましたが、バブル崩壊後、問屋からの注文が激減します。後継ぎ社長の三好佑紀さんは下請け一辺倒から脱し、17年ほど前からECサイトに注力。他社の紀州漆器を扱う小売業へとかじを切ります。新規雇用を進めてサイト制作を内製化し、見せ方や品ぞろえの工夫や配送といった組織を作るなど、地道な積み重ねで年商は倍増。曲げわっぱ弁当箱に特化した実店舗も運営し、紀州漆器の底上げも目指します。
横浜市の伊勢佐木町商店街内に店を構える「川本屋茶舗」は、創業125年のお茶の専門店で、商品の幅を茶器や乾物、自家製スイーツにまで広げています。2013年に5代目として、川井秀昭さんが社長、弟の喜和さんが副社長に就いてから、細々と展開していたネットショップを拡大。品ぞろえを大幅に増やしたり、それまでの強みを生かしたギフト商品の開発やサービスを考えたりして、事業承継から10年で売り上げを20倍に伸ばしました。
阿部仏壇製作所(新潟市東区)は、74年にわたり仏壇と木製品を作っています。3代目の吉田達洋さんは倒産寸前だった家業を引き継ぎ、木工雑貨に手を広げますが、売り上げは伸びず苦境が続きました。異業種出身の妻・香那子さんが加わったのを機に、無駄な経費の削減やネット販促戦略に注力。出産祝い向けの雑貨「おなまえ積み木」をヒットさせて、30~40代の新たな仏壇購入層もつかみ、「ゆりかごから墓場まで」を軸とした相乗効果で、V字回復を遂げました。
ものづくりの町・東京都墨田区の工場で、園芸用の高級じょうろを作り続ける「根岸産業」。従業員3人、家族で営むこの小さな町工場には、世界中の園芸ファンからじょうろの注文が舞い込みます。以前は国内販売が主でしたが、3代目の根岸洋一さんが販売方法をがらりと変え、越境ECの活用で海外需要の掘り起こしに成功しました。
浅川さんが開発した「スポッとる」
浅川さんは「壁にぶつかった時こそチャンス」と言います
日米クリーニングで作業する浅川さん(同社提供)
「スポッとる」を使ったシミ抜き(同社提供)
ハッシュ代表で日米クリーニング3代目の浅川ふみさんは、シミ抜きや旅行用の洗濯に役立つ洗濯洗剤をヒットさせました
ルーシーミストはコンパクトに畳めるハンガーがセットです
ルーシーミストは旅行や出張に着目して開発しました
「みよし漆器本舗」のトップページ
三好漆器社長の三好佑紀さんはEC戦略の積み重ねで、家業を大きく飛躍させました。持っているのは笑顔を印刷した人気商品「曲げわっぱちゃん」
日常使いできる漆塗りの和洋食器(三好漆器提供)
曲げわっぱをイメージし、陳列棚もカーブを描いています
自社でレーザー加工や印刷を行います(同社提供)
曲げわっぱの弁当は「インスタ映え」するといいます(同社提供)
内製化でページの素早い更新が可能に(同社提供)
カスタマー課をつくり、顧客対応を強化しました(同社提供)
ロジスティクス課の業務(同社提供)
店の入り口にある「漆器ガチャ」
三好さんの妻の紗耶香さん(右)が「漆器のある暮らし」の店長です
自社で印刷や彫刻をほどこしたオリジナル商品が「かわいい」と評判に
「川本屋茶舗」の売り上げを急伸させた社長の川井秀昭さん(右)と副社長で弟の喜和さん(左)
伊勢佐木町商店街にある「川本屋茶舗」。2023年1月に全面改装しました
50種類のお茶を中心に、急須や茶香炉、和スイーツが並びます
実店舗でもかつお節削り器や急須、茶香炉などを扱っています
2023年にパッケージなどを一新しました(同社提供)
パウンドケーキは着色料・保存料・香料を一切使わずに焼き上げています(同社提供)
「CHAGASHI ショコラ」は宇治抹茶、チョコレート、ほうじ茶を展開(同社提供)
副社長の喜和さんは和服姿がトレードマークです
秀昭さんは実店舗の品をネットショップで展開し、ニーズを探りました
売れ筋の木製シンプル仏壇
阿部さん夫妻と兄の一彦さん(左)は、それぞれの持ち味を生かしながら家業を成長させています(同社提供)
手元供養台「nenrin®」(同社提供)
国産ヒノキを使用した「おなまえ積み木」(同社提供)
ナイフで削る、サンドペーパーで磨くなど手間がかかる手作業の工程が多くを占めます(同社提供)
「おなまえ積み木」は赤ちゃんでも持ちやすい商品です(同社提供)
ショップ内には木製のおもちゃやインテリア用品などが並びます
来日したNegishi Sushi BarのJoroさんと(根岸産業提供)
「ebay」に掲載された根岸産業のページ
じょうろ作りの工程。銅板の裁断(上段左)→曲げ加工(上段右)→溶接(下段左)→磨き(下段右)を経て完成する(根岸産業提供)
根岸産業の銅製じょうろ。そのデザイン性も評価されています。価格は5千円~3万円ほど(同社提供)
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