目次

  1. フラッグシップを「魅せる」 
  2. 「虎屋」で浮かんだ仮説
  3. 「期待」をつくるための設計 
  4. 強み発掘と競合のリサーチ
  5. ECサイトを企画した理由
  6. 女性向け防災備蓄キットの新常識
  7. イメージが偏りすぎない名前に
  8. 印象に残る2色のイメージ
  9. フェムアクションがもたらす変化

 連載6回目でお伝えした通り、フラッグシップの開発は以下の三つのステップで進みます。今回は「魅せる」についてお伝えします。

  • 創る
  • 魅せる
  • 届ける

 「魅せる」とは「創る」で企画したフラッグシップに対して、必要な情報を設計します。例えば連載5回目で取り上げた「wemo」の場合、「創る」のフェーズでシリコン製リストバンド型メモを企画しました。

 しかし、この商品を読者の目の前にポンとおいたとして、1200円で購入する方はどれくらいいるでしょうか。恐らくゼロだと思います。そもそも何に使うか分からず、1200円で購入するメリットも見えません。では、どうすれば買ってもらえるのか。必要なのは製品を魅力的に示すための情報です。筆者が代表を務める「kenma」では、この情報を設計することをブランディングと呼んでいます。

 筆者は経営会議から現場のチームミーティングまで様々な打ち合わせに参加します。その中でよく聞くのが「〇〇が達成できないのはブランディングが足りないから」という会話です。その時にはすかさずブランディングの定義を尋ねますが、シンプルな答えが返ってきた経験はほぼありません。

 それも仕方がないかもしれません。なぜなら、ブランディングの定義に絶対のものはなく、定義する人の立場によって内容が異なっているからです。筆者の場合は学術的な正しさより、実務で機能するか、フラッグシップ開発によって成果が上げられるかを重視しています。その前提を元にブランディングについて解説します。

 kenmaではブランディングを「期待をつくること」と定義しています。この定義は、筆者が20年ほど前、東京の和菓子の名店「虎屋」に入った時の体験から導き出しました。

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