経済産業省の2025年度概算要求 中小企業向け政策の見通し一覧
政府の2025年度予算編成に向けて、各省庁からの概算要求が2024年8月にまとまりました。このうち、事業承継税制の見直しや中小企業経営強化税制の拡充、中小企業投資促進税制の延長など経済産業省がまとめた中小企業向け政策要望を紹介します。
政府の2025年度予算編成に向けて、各省庁からの概算要求が2024年8月にまとまりました。このうち、事業承継税制の見直しや中小企業経営強化税制の拡充、中小企業投資促進税制の延長など経済産業省がまとめた中小企業向け政策要望を紹介します。
目次
国税庁の公式サイトなどによると、概算要求とは、翌年度の国の予算編成に向けて各省庁が財務省に提出する予算方針です。財務省は、各省庁から提出された金額や内容の妥当性などを調べて、認めるかどうかを決めます。その結果を内閣に報告します。
内閣は、財務省の報告をもとに「予算案」を作成します。予算案は、国会の議決を経て初めて予算として成立します。つまり、概算要求は来年度の国の政策の目安になりますが、かならず予算案に盛り込まれるとは限りません。
そのうえで、経済産業省は2024年8月30日、令和7年度概算要求・税制改正要望を財務省に提出し、公表しました。一般会計や特別会計、脱炭素に向けたグリーントランスフォーメーション(GX)推進対策費などを含めた総額は2兆3596億円で、2024年度当初予算から約4500億円増えました。
この記事では、概算要求のうち、中小企業政策に関わる部分に焦点を当てて紹介します。
事業承継税制の特例措置とは、事業承継時の相続税・贈与税負担を実質ゼロにする時限措置のことです。
概算要求では、経営者の高齢化が進むなか、中小企業の事業承継をさらに後押しするため、事業承継税制の特例措置について、役員就任要件の見直しと、適用期間における事業承継の取組等も踏まえた必要な措置の検討を要望しています。
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とくに、役員就任要件については、特例事業承継税制が適用されるためには、株式贈与日に後継者が役員に就任後3年以上経過している必要があります。
2024年度の税制改正によって、特例承継計画の提出期限は2026年3月末まで延長されたものの、後継者が役員に就任していない場合、特例措置の期限である2027年12月末の3年前となる2024年の12月末までに、役員に就任する必要があるため、経産省が見直しを要望しています。
中小企業経営強化税制は、中小企業の稼ぐ力を向上させる取組を促進するため、中小企業等経営強化法による認定を受けた計画に基づく設備投資について、即時償却及び税額控除(10%、資本金3000万円超の場合は7%)のいずれかの適用を認める措置のことを指します。
売上高が100億円を超える中小企業(100億企業)の創出を推進するため、中小企業経営強化税制の拡充を要望しています。具体的には、適用期限を2年間延長し2026年度末までとすることと、上乗せ措置等を検討することを求めています。
中小企業投資促進税制は、中小企業における設備投資を後押しするため、一定の設備投資を行った場合に、税額控除(7%:税額控除は資本金3000万円以下の中小企業者等に限る)または特別償却(30%)の適用を認める措置のことです。
人手不足や物価高騰が続く中、中小企業の更なる設備投資を促進するため、適用期限を2年間延長し、2026年度末までとすることを要望しています。
中小企業者等の法人税率の特例とは、中小企業者等の法人税率について、年間800万円以下の所得金額に対する税率は、19%から15%に軽減されるという措置のことです。
中小企業の経営基盤の維持や資金繰り負担を緩和するとともに、生産性向上に向けた取組を後押しするため、適用期限を2年間延長し、2026年度末までとすることを要望しています。
中小企業防災・減災投資促進税制とは、自然災害等への対策を強化するため、事業継続力強化計画/連携事業継続力強化計画に対象設備の投資を行うことを記載して認定を受けた中小企業者が、認定後1年以内に予定していた設備導入を行った場合に、特別償却を適用できる制度です。
令和6年能登半島地震をはじめ、自然災害が全国で多発する中、中小企業における防災・減災能力の強化が一層重要性を増していることを踏まえ、適用期限を2年間延長し、2026年度末までとするよう要望しています。
赤字企業を含めた中小企業の前向きな投資や賃上げを後押しするため、赤字黒字を問わず設備投資に伴う負担を軽減する固定資産税の特例措置の適用期限の2年間延長し、2026年度末までとするよう要望しています。
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