目次

  1. 商品価値とは プロダクト3層モデルも紹介
  2. 商品価値を上げた事例を紹介
    1. 「高い=売れない」を覆す 風月堂3代目が挑んだ1本1万円の羊羹
    2. 漫画制作から「漫画を通じて顧客ニーズに応える総合プロデュース企業」へ
    3. 古い機械が生きる編み目ゆったりの靴下、新規事業に
    4. ポップアップストア「アラジン展」、装飾にも工夫
    5. ヒアリングをもとにしたアパートのリノベーションが人気
  3. 飲食業・不動産業・宿泊業のアイデア紹介
  4. 付加価値を上げるのに役立つビジネスモデルキャンバス

 商品価値とは、その商品を買うための目的であり、購入後も満足度を高めるうえでの重要な要素です。顧客は機能面だけでなく、流行や希少性、顧客の個人的な経験など複合的な要因で商品価値を感じています。

 このほか、アメリカの経済学者フィリップ・コトラーは「プロダクト3層モデル」として、3層に分け整理しています。

  • 中核……製品が備えている価値や機能
  • 形態……製品のスタイル・デザイン・ブランド・パッケージなど
  • 付随機能……保証・アフターサービス・メンテナンスなど

 そこで、商品そのものの機能を高めるだけでなく、どうすれば顧客に価値を感じてもらえるかを考えるヒントを紹介します。

 商品価値を上げた事例をこれまでのインタビューのなかから紹介します。

 創業70年余り続く和菓子店「御菓子司 風月堂」です。3代目の藤田浩一さんは安い価格で和菓子を作り続けることに限界を感じ、高くても魅力ある商品開発に力をいれました。地元産の希少な栗を使った1本1万円の栗蒸し羊羹が予想を超えて反響を呼んでいます。

予想以上の反響があった「万羊羹」(同社提供)

 漫画を活用した広告や書籍、マニュアルなどの企画・制作・編集・出版を手がけるトレンド・プロ2代目社長の岡崎寛之さんは、事業の屋台骨だった漫画制作業務にとどまらず、漫画を通じて顧客ニーズに応えるプロデュース業に乗り出し、サービスの付加価値を高めています。

トレンド・プロ2代目社長の岡崎寛之さん。コロナ禍をきっかけに、父・充さんから経営を引き継いだ(トレンド・プロ提供)

 創業95年を誇る創喜は、昭和時代のレトロな編み機が今も稼働する靴下メーカーです。5代目社長の出張耕平さんは古い機械の利点を生かし、他社がまねしにくい「ローゲージ」と呼ばれる編み方で自社ブランドを立ち上げました。

 独自技術を用いたトースターやストーブなどの「アラジンブランド」で知られる家電メーカー・千石は、2022年11月中旬の3日間、東京都渋谷区代官山でポップアップストアを開きました。20代の若手社員が企画運営を担い、家電の活用シーンをイメージできる展示にしたり、インフルエンサーを招待したりするなど工夫を凝らしています。

千石のポップアップストア「アラジン展」で、スピーカーが搭載されたLEDランタンを紹介する同社の若手社員

 山梨県甲府市で、アパート経営を手がける3代目の長田穣さんは自ら清掃に励み、顧客へのヒアリングをもとにしたリノベーション、大手ポータルサイトに頼らない情報発信などに取り組み、入居者からの信頼を獲得。ほぼ満室状態が続く人気物件へと変貌させています。

女性が喜ぶ“古民家風カフェ風”にリノベーションした部屋の様子

 中小企業診断士の武井綾子さんは、記事「付加価値を高めるには?業界ごとの具体例や必要な手順を簡単紹介」のなかで、業界別に付加価値を高める方法を紹介しています。

  • 飲食業……他店では体験できないような演出の料理法をしたり、料理を提供する際の料理説明やおいしそうに見える写真の撮り方のアドバイスを取り入れたりする
  • 不動産業……こだわりのある女性の顧客層にターゲットを絞り、内装のカスタマイズ対応をできるようにする
  • 宿泊業……特別なルームサービスや特別なアクティビティなどその宿でしか体験できないことは非日常感を提供する

 付加価値を上げるには、まず想定する顧客がどんな課題を抱え、その課題の解決に、自社ならではの強みが生かせるかを考えてみましょう。ビジネスモデルキャンバスを利用すれば、整理しやすくなります。

ビジネスモデルキャンバスの概要や目的、ポイント
ビジネスモデルキャンバスの概要や目的、ポイント(デザイン:吉田咲雪)