業界に関わらず共通する支援策

 業種別のリーフレットのうち、雇用調整助成金、事業再構築補助金、実質無利子・無担保融資、新型コロナ対策資本性劣後ローン、一時金の解説は業界を問わず、ほぼ共通しています。まず、この項目をご紹介します。このほかにも、税・社会保険料の納付猶予、公共料金の支払い猶予などの制度もあります。

休業手当の負担が重く、従業員の雇用の維持が大変な場合

 雇用調整助成金を利用できます。緊急対応期間中の休業について、中小企業の場合は休業手当等の4/5を助成。また、雇用を維持した場合は、全額助成されます。さらに、助成額の上限は1人あたり1日1万5000円に引き上げられています。この特例は緊急事態宣言が全国で解除された月の翌月末まで延長する予定です。

雇用調整助成金の仕組み(厚生労働省のパンフレットから引用)

思い切った事業の再構築に挑戦したい

 3月から募集開始予定の事業再構築補助金は、新分野展開や業態転換などを行う事業者に対して、設備投資などの取組費用の最大2/3(一定の要件を満たせば1億円まで)を支援します。

事業再構築補助金の特別枠の仕組み(2021年2月4日時点の経済産業省のサイトから引用)

売上減少に伴い 、当面の運転資金を調達したい

 政府系金融機関と民間金融機関で実施している実質無利子・無担保融資の上限額が拡充されています。

  • 日本公庫国民事業、民間金融機関→最大6000万円(拡充前4000万円)
  • 日本公庫中小事業、商工中金(危機対応融資)→最大3億円(拡充前2億円)

金融機関が資本とみなせる資本性資金を調達したい

 新型コロナ対策資本性劣後ローンが活用できます。日本政策金融公庫や商工中金が、金融機関が資本とみなせる資本性劣後ローンを供給し、民間金融機関からの金融支援を促しつつ、事業の成長・継続を支援しています。

  • 貸付限度:日本公庫国民事業7200万円、日本公庫中小事業・商工中金7.2億円
  • 貸付期間:20年、10年、5年1ヶ月(期限一括償還)

緊急事態宣言による売上減少で資金繰りが厳しい

 売上の減少に対して一時金が支給されます。飲食店の時短営業や不要不急の外出・移動の自粛で、1~3月のいずれかの売上が対前年(または対前々年)と比べて50%以上減少した中堅・中小事業者に対して、法人は60万円以内、個人事業者等は30万円以内の額を支給します。

飲食業向けの支援とは

 飲食業向けには、このほかにも時短営業に対する協力金があります。地方公共団体による営業時間短縮要請に応じた事業者に対し、緊急事態宣言の対象地域で、1日あたり最大6万円、緊急事態宣言の対象外地域で1日あたり最大4万円の支援があります。

 感染防止対策をしながら、集客を回復したい事業者向けには、IT導入補助金、持続化補助金が活用できます。デリバリーやEC販売を開始するためのシステムの新規構築で活用できます。また、小規模事業者は、テイクアウト商品の開発や大部屋を個室にするための間仕切りの設置等の取組や感染防止対策費の一部について持続化補助金を活用できます。

製造業向けの支援とは

 感染防止対策を行いながら 、 前向きな設備投資をしたい製造業向けには、ものづくり補助金が活用できます。新製品・サービス開発や生産プロセス改善等のための設備投資に生かせます。さらに「低感染リスク型ビジネス枠」として対人接触機会の減少に資する、製品開発、サービス開発、生産プロセスの改善に必要な設備投資、システム構築等については、補助率がアップします。

卸売業向けの支援とは

 新たなサービス開発のための設備投資はものづくり補助金で 、 インターネット販売の開始や自動受付機の導入による非対面型サービスの提供のためのシステムやITの新規導入、ECサイトの新規構築などはIT導入補助金や持続化補助金を活用できます。

小売業向けの支援とは

 インターネット販売の開始や自動受付機の導入による非対面型サービスの提供のための、システムやITの新規導入、ECサイトの新規構築には、IT導入補助金、持続化補助金が活用できます。また、小規模事業者による移動販売車の導入や感染防止対策費の一部は持続化補助金を使うことができます。

業界別の支援策のリーフレットの一例

宿泊業向けの支援とは

 顧客対応・販売支援システムなどを利用した付加価値を高めたサービス提供に、IT導入補助金を使うことができます。新たなサービス開発のための設備投資をものづくり補助金で支援。さらに対人接触機会の減少に資するサービス開発については優先的な支援が受けられる見込みです。

 地域などが策定した「観光拠点再生計画」に基づいて実施する、宿泊施設の高付加価値化改修や感染症防止策(換気設備の導入など)の支援も実施予定です。さらに、宿泊事業者がほかの事業者と連携・協業して行う新たなビジネス創出の支援などもあります。詳細が決まり次第、観光庁のサイトなどで公表する予定です。

旅客運輸業向けの支援とは

 新たなサービス開発のための設備投資、とくに対人接触機会の減少に資するサービス開発はものづくり補助金でも優先的に支援が受けられる見込みです。また、顧客対応・販売支援システムなどを利用した付加価値を高めたサービス提供に、IT導入補助金の活用が可能です。

カスタマーサポートの支援で活用されるテクノロジーをまとめたカオスマップ(モビルス作成)

貨物運輸業向けの支援とは

 新たなサービス開発のための設備投資をものづくり補助金で、顧客対応・販売支援システム等を利用した付加価値を高めたサービス提供に、IT導入補助金の活用できます。さらに対人接触機会の減少に資するサービス開発については優先的に支援が受けられる見込みです。

娯楽業向けの支援とは

 緊急事態宣言の影響で中止したイベントのキャンセル料や再開を支援します。J-LODlive補助金で、中止したイベントのキャンセル料や、再開する公演の費用の支援を受けられる予定です。さらに、文化庁は、公演において積極的な活動を行う団体を支援する予定です。また、大規模スポーツイベントへの支援については、スポーツ庁のサイトで公表予定です。

 顧客対応・販売支援システム等を利用した付加価値を高めたサービス提供に、IT導入補助金が活用できます。新たなサービス開発のための設備投資はものづくり補助金を使うことができます。さらに、対人接触機会の減少に資するサービス開発については優先的に支援が受けられる見込みです。

リーフレットのダウンロード先

 リーフレットのダウンロード先は経産省のサイトです。いずれもPDF形式となりますので、あらかじめご注意ください。

支援を活用したい場合の相談先

 こうした支援策を活用するうえで、経産省は「日本政策金融公庫、商工組合中央金庫、信用保証協会、商工会議所、商工会連合会、中小企業団体中央会及びよろず支援拠点、並びに全国商店街振興組合連合会、中小企業基盤整備機構など全国1 050ヶ所にあるお近くの経営相談窓口を活用ください」と呼びかけています。