目次

  1. 補正予算とは
  2. 補正予算、いつ成立?
  3. 補正予算、中小企業庁分で3.9兆円
    1. 事業復活支援金(2.8兆円)
    2. 事業再構築補助金(6123億円)
    3. 中小企業への資金繰り支援
    4. ものづくり補助金やIT導入補助金など生産性向上への補助金(2001億円)
    5. 事業再編・再生支援(757億円)
    6. 「がんばろう!商店街」事業(既存予算)
    7. 海外需要獲得支援(12億円)
    8. クリーンエネルギー自動車(CEV)の購入補助
  4. 環境省、中小企業のCO2削減設備に購入補助

 国や地方自治体は毎年、当初予算を組んでいます。しかし、新型コロナや災害への対応のように当初予算で準備していた額で足りなくなる場合があります。そんなときに新たにつくるのが、補正予算です。改めて国会で補正予算案を審議する必要があり、議決されると補正予算として成立します。

 2021年の補正予算案は、岸田内閣の「コロナ克服・新時代開拓のための経済対策」を実行するのが目的の一つで、過去最大となる総額35.9兆円に上ります。

 補正予算を審議するための臨時国会は、2021年12月6日に召集し、21日までの16日間とすることで与野党が合意しました。

 過去最大35兆円超の歳出総額となった補正予算は12月20日に成立しました。

 補正予算案には、中小企業庁による中小企業支援など3兆8594億円分が盛り込まれており、中小企業庁の公式サイトでポイントがまとめられています。そのなかからいくつか紹介します。詳しくは、補正予算成立後になります。

 事業復活支援金とは、新型コロナの影響で2021年11月~2022年3月のいずれかの月の売り上げが、前年か2年前の同じ月より30%以上減った中堅・中小・小規模事業者、フリーランス、個人事業者に対し、最大250万円を支給する支援金のことです。

 事業復活支援金の上限額は、事業規模と売上減少額に応じて変わります。

事業復活支援金の概要(経済産業省のリーフレットから引用)

 2020年度補正予算から始まった事業再構築補助金が、2021年度補正予算案にも盛り込まれました。

 事業承継補助金とは、新型コロナウイルス感染症の影響で、需要や売り上げの回復が難しいなかで、新規事業分野への進出等の新分野展開、業態転換、事業再編などに取り組む中小企業を支援する補助金です。前回は、最大1億円が補助されるとして 注目されました。

 今回もカーボンニュートラルの実現を目指して新設された特別枠「グリーン成長枠」の補助上限は中小企業で1億円、中堅企業で1.5億円となります。

事業再構築補助金のリーフレット(中小企業庁の公式サイトから引用)

 コロナ禍で続けられてきた中小企業への資金繰り支援が延長されることになりました。具体的には3つの支援策です。

  1. 実質無利子・無担保融資(2021年度末まで)
  2. 資本性劣後ローン(2022年度も継続)
  3. 伴走支援型特別保証(2022年度も継続)
中小企業への資金繰り支援のポイント(経済産業省のリーフレットから引用)

 中小企業の生産性を向上する補助金には、カーボンニュートラルや2023年10月に導入されるインボイス制度に対応するための支援が盛り込まれています。

 次の4つの補助金でそれぞれ活用できる範囲や補助額が変わります。

  1. ものづくり補助金
  2. 持続化補助金
  3. IT導入補助金
  4. 事業承継・引継ぎ補助金
2021年度補正予算案に盛り込まれたものづくり補助金、持続化補助金、IT導入補助金、事業承継・引継ぎ補助金の概要(経済産業省のリーフレットから引用)

 中小企業の私的整理等のガイドラインを年度内につくり、官民連携のファンドや中小企業再生支援協議会の支援体制を拡充する予算です。

 コロナ禍で始まった「Go To商店街」の事業は、感染拡大のためストップされていました。しかし、政府の経済対策では「Go Toイート事業やイベントや商店街への需要喚起事業は、感染状況等を踏まえつつ、来年のゴールデンウィーク頃までを基本として、実施する」ことが決まりました。

 そこで、Go To商店街の事業は内容を見直したうえで、「がんばろう!商店街事業」に名前が変わりました。具体的には、「ワクチン・検査パッケージ」などを活用することを支援し、補助上限額を引き上げる予定です。

 越境EC市場の獲得促進のため、中小企業の海外向けブランディング・プロモーションを支援する事業です。

 2021年度補正予算案とは別ですが、同じような支援として、2021年11月からAmazonと日本貿易振興機構(JETRO)が日本企業の海外進出を支援するために作られる米国Amazon.com内の日本商品の特集ページ「JAPAN STORE」を開設しています。

 このほかにも、2021年補正予算案に、電気自動車・プラグインハイブリッド車(PHEV)・燃料電池自動車(FCEV)の購入を補助する「クリーンエネルギー自動車・インフラ導入促進補助金」が盛り込まれています。

 法人に対しては、クリーンエネルギー自動車(CEV)の購入補助だけでなく、充電インフラの設置補助もあります。

 中小企業向けの補助金は、中小企業庁だけではありません。環境省は、補正予算案に中小企業の二酸化炭素(CO2)削減設備の導入に最大5000万円の購入を補助する制度を盛り込んでいます。

環境省の2021年度補正予算案のグリーンリカバリーの実現に向けた中小企業等のCO2削減比例型設備導入支援事業のポイント(環境省の公式サイトから引用)