熱い思いの実現に必要なもの 日本総研・石川智久さんが選ぶ5本
ツギノジダイでは毎月、20本近い経営者インタビューを掲載しています。その中から、Yahoo!ニュースの公式コメンテーターとしても知られる日本総研の石川智久・上席主任研究員が選んだ注目記事を、解説とともに月1回お届けします。第3回は、2022年4月の掲載分から5本をピックアップしてもらいました。高い志と、それを実践するための冷静な戦略をあわせ持つ企業が目立ったといいます。文中の記事リンクとあわせてご覧ください。
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目次
高齢化社会が進むなか、その対応はどの企業にとっても成長に不可欠となっています。その意味でこの会社の取り組みは参考になります。新築が減るなか、リノベーション事業を強化したり、高齢者住宅に乗り出したりすることなど、とても参考になります。
新規事業に乗り出すのは勇気がいりますが、この会社は思い切ってビジネスの幅を広げました。その行動力が力の源泉でしょう。また、人事部を再編して従業員がアイデアを出しやすくすることや、会社の強みや歴史から戦略を考えることなど、内部管理の強化も進めているところも参考になるでしょう。
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こうした内部成長戦略だけでなく、ベンチャー企業のグループ入りをするなど外部の資源の活用を考えているところも、多面的な展開をしていると考えられます。「宮城・東北にいれば心も豊かに過ごせると思ってもらえる地域づくりをしていきたい」との思いをうまく形にしている事例です。
この会社のジョイスティックのおかげで、多くの障がいを持たれた方がゲームを楽しむことができています。そして、障がいがあってもこの会社のツールで働いている人がいるように、障がい者の雇用拡大に貢献していることに加え、商品を日本だけでなく世界に展開しようとされているところに可能性を感じます。
障がい者向けのプロダクツはニッチと思われがちですが、世界に目を向けると10億人規模の大市場になります。実際、製薬会社などでは10万人に一人といった希少性疾患の薬については、世界展開することで収益を確保する動きがありますが、この会社も同じような戦略をとっているといえます。
また障がい者向け商品は高齢者にも優しい商品です。高齢化社会においてニーズは増えるばかりですので、今後の活躍が期待されます。重度障害を持たれた姉が4歳で亡くなったのが創業のきっかけとのことですが、その思いを大事にして、世界中をバリアフリーにして欲しいと思いますし、それが出来る実力がある会社と思います。
この記事の面白さは社内を活性化させる採用戦略の好事例であることです。「長期的に存続できる企業にしたい。そのためには若い人が必要」と考えて適切な手を打っています。ポイントはインターン募集や採用活動で「嘘偽りない会社の姿」をそのまま見せるということです。話を盛らずに良いところも悪いところも見せることで、会社にフィットした人材の採用に成功しています。
そして若手が活躍するにつれてベテランもおしゃべりになったり、ベテランが若手のチャレンジを見て新しい仕事をゼロから学んだりするなど相乗効果が生まれているところも興味深い点です。採用は多くの企業にとって頭が痛い問題ですが、自社と相性の良い人材を獲得する方法、活躍させる方法、そして波及効果まで示した素晴らしい事例です。
靴や靴下の悩みはたくさんあります。それに対して真摯に対応しているのがこの会社です。一定以上のニーズがあるものではなく、ECサイトの一つのレビューや一本の電話から商品を生み出すところが強みです。こうした大企業では採算に合わないニーズにこそ、中堅・中小企業の強さが発揮されます。
また、この会社がある奈良県はソックス生産日本一で、協力工場の多さもメリットとして機能しています。中小企業集積の凄さを感じさせる話です。せっかくですので、今治タオルのように奈良ソックスもご当地ブランドにまで高めてほしいと思います。「お客様の小さな声を聞く」「地域に貢献できる会社にしていく」という素晴らしいビジョンをこれからも大事にしてほしいと思います。
海外展開を考えている企業経営者は多くいらっしゃると思います。その方に読んでほしい記事です。うまくいった話、困難に直面してもそれをクリアした話が丁寧に説明されています。
この会社の素晴らしいところはまず飛び込んで、そこでもまれてノウハウを蓄えているところです。つまり毎日国際試合をやっているような感じです。それができるのも質の高い商品があり、それを世界に広めたいという強い気持ちがあるからと思います。「強い思いは、文化や言葉が違えど相手に伝わります」という言葉に強い自信と信念を感じました。
さて、この会社では、ウクライナ進出を進めていましたが、それが昨今のロシアによる侵攻で滞っています。とても厳しく、残念な状況ですが、戦争が終わったのちに、同社の製品でウクライナの人々の心を癒やしてほしいと思います。まだ戦争の終結が展望できない状況ですが、気の早い欧米メディアなどでは、ウクライナの戦後復興が話題になりつつあります。是非ともこの会社がウクライナ復興支援の代表的な企業になることも期待します。
今回の記事にはとても熱い気持ちを感じさせるものが多くありました。「愛する地域のためにがんばりたい」「世界の障がい者のための商品を作りたい」「長寿企業にしたい」「お客様の小さな声を大事にしたい」「文化や言語を越えて自社の製品を届けたい」…。全部とても素晴らしい志であり、崇高なビジョンだと思います。
さらに素晴らしいのは、その気持ちを実現させるために冷静な計算を行い、丁寧な対応を進めていることです。内部管理の徹底と外部の力の活用の両方に目を配る、顧客の声に耳を傾ける、採用戦略を工夫してそれを社内の活気につなげるなど、様々な工夫で夢を実現している企業に頼もしさを感じました。経済学者のマーシャルは「熱い心と冷静な頭脳が必要」と喝破しましたが、それを毎日実践しているところは本当に感心しました。
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