目次

  1. 出展時に役立つ工夫をフィードバック
    1. 来場者にも体を動かしてもらっては?
    2. トークスクリプトを用意しよう
    3. ブースにお悩み解決のキャッチコピーを
    4. ユニフォームで個性と統一感
    5. おしゃれだけじゃないPOP
    6. ほかの出展者に挨拶に行こう
    7. スピーカー活用で周りにもプレゼン
    8. 持ち帰り用資料は名刺がオススメ
    9. 顧客の声伝えてみては?
  2. インタビュー後編は事前準備を解説

ツギノジダイの企画「展示会の集客のコツ」では、全国の中小企業が展示の「気づき」を提供しています。清永さんはどのように見ましたか?

 どの企業も積極的にチャレンジしており、すばらしいなぁと心が熱くなりました。これから出展する方に参考にしてもらうという観点で、フィードバックします。

koburiの展示ブース(三共提供)

 三共さんは、展示会で初めて、対面型一般販売をし「作り手が舞台に立つ覚悟を持つ」ことが重要だと感じたと言います。すばらしい気づきです。

 中小企業のなかには、日ごろ、顧客と接することが少なく、自社の商材が、だれに、どのように役に立っているかを見失っているケースが少なくありません。

 展示会に出展すると、顧客と接し、矢面に立つ気概が自然と醸成されていきます。展示会は「中小企業が自社の想いや志を世の中に堂々と発信する最高の場」なのです。

 記事からは、三共さんが、商品の価値が来場者になかなか伝わらずもどかしい思いをしたことが伝わってきます。そのようなときは、自社商品に価値を感じ記憶に残してもらうために、来場者に身体を動かしてもらって体験してもらうのはどうでしょうか?

 たとえば、以下のようなイメージです。

振動と音の違いをたたいて確かめてもらう展示(清永さん提供)

 この例では、丸のこぎりを2つ吊り下げています。ひとつはある加工を施した自社製、もうひとつは一般のものです。そして、来場者にバチ棒で、この2つを叩き比べてもらうのです。一般のものをたたくと、「ボ~ン」と音が反響します。

 一方、自社製のものを叩いても「コツン」と打撃音がするだけで大きな音は出ません。来場者は、この体験によって「なぜだろう?」と疑問を持ちます。

 そこで、すかさず「新開発の丸のこぎりは、外部からの刺激があっても振動が少ないので、大きな音がしません。振動が少ないということは、切断面をキレイに仕上げることができるということです」と価値を伝えるのです。

 体験してもらった上で商品の価値を伝える、このやり方は非常に有効です。ぜひ試してみてほしいと思います。

 播磨屋茶舗さんは、ブランドストーリーを短い時間でも伝えられるように事前に整理して展示会に臨んだことがすばらしいです。

 展示会で来場者は、さまざまなブースからたくさんのことを聞き、情報過多になっています。だからこそ、無駄な言葉を削ぎ落して本当に伝えたいことだけを盛り込んだトークスクリプトを事前に用意しておくことが非常に重要なのです。

 トークスクリプトは、長くとも1分程度(文字に書き起こすと300文字程度)になるようにつくるとよいでしょう。

 また、播磨屋茶舗さんは、反省点として来場者に「足を止めてみてもらえなかった」点を挙げています。実は、来場者にブースに立ち寄ってもらうためにはコツがあります。

展示会でブース前にスタッフ全員、直立不動で立つのは避けましょう(清永さん提供)

 気合いを入れて一生懸命取り組もうとするとつい、ブース前に直立不動で立ってしまいます。その横にもまた、別のスタッフがビシっと立ちます。こうなると最悪です。ブースの中がよく見えないし、近寄ったら強引に売りつけられそうな気がします。

 スタッフは、ブースから離れて、遠くから自社のブースを眺めながら通路を漂っていてほしいのです。

展示会での声掛け位置のイメージ(清永さん提供)

 すると、ブースとスタッフの間を来場者が通ります。来場者が自社のブースをチラっと見たその瞬間に、斜め後ろから、「何か気になりましたか?」と声をかけながら、自社ブースに一緒に近づいていきましょう。

 そして、来場者と同じ方向を見ながら対話するのです。人は、向かい合うと対立しがちになりますが、同じ方向を見ながらだと会話が弾みやすくなると言われています。ぜひ取り入れてみてください。

 斎藤塗料さんが秀逸だと感じるのは、事前に公式twitterで展示物や商品を告知し、来場を促している点です。中小企業こそSNSなどを活用して積極的に情報発信をしてほしいです。

コーティングジャパンでペイントアイドル「塗料屋@サンライズ」と集客した斎藤塗料(引用元:https://twitter.com/wjm_crystal/status/1525103910024728576/photo/3)

 さらによくなる点として、ブースの上段に注目してみましょう。写真では、ブース上段に「斎藤塗料株式会社」と社名を掲げていますが、ここに、「だれの、どんな悩みを解決するブースなのか?」が一目でわかる『ブースキャッチコピー』を掲げてみてはどうでしょうか。たとえば、以下のようなイメージです。

ブース上部に掲げられたブースキャッチコピーのイメージ(清永さん提供)

 完成品でなく、技術が売りの企業でも、ブースキャッチコピーを掲げることで、来場者にとってわかりやすくなり、格段に集客しやすくなります。ぜひ取り入れてください。

 ノムラ化成さんの記事に「会社名をカタカナ表記した帽子の来場者ウケがよいとわかったので急遽10個追加発注して、翌日にはスタッフ全員が被ることにした」とありました。この対応力、とてもすばらしいです。

 おそらく、ノムラ化成さんは、展示会の初日、2日目、3日目と、その日の終わりに、良かった点、もっと良くなる点をミーティングしているのでしょう。

 展示会の会期中に常に改善しつづけていく姿勢、見習いたいですね。帽子やユニフォームなどで個性と統一感を出すのは、非常によいやり方です。

 今はコロナ禍ですから、マスクをそろえるのもお勧めです。以下は、「美」に関する商材を訴求するブースのスタッフが、ピンク色に「美」という文字がプリントされたマスクをつけて接客している写真です。統一感があり、つい立ち寄ってみたくなりますよね。ご参考にしてみてください。

「美」に関する商材を訴求するブースのスタッフが、ピンク色に「美」という文字がプリントされたマスクをつけて接客している様子(清永さん提供)

 また、ノムラ化成さんのように海外展示会に出展される際は、展示会開催前に、現地の有力見込み客に展示会出展案内を送っておくと効果的です。現地の業界誌に広告掲載している企業などはねらい目ですね。そうした企業の代表者あてに、こちらの社長名で手書きの手紙などを送るのもよい手だと思います。

FIELDSTYLE SEASIDE MARKET 2022に出展したリングスターのアウトドアブランド「Starke-R」のレイアウト(写真はいずれもリングスター提供)

 リングスターの篠田さんは、一方的に営業するのではなくアンケートを取るような気持ちで接客したとのこと。とても重要なポイントです。

 展示会では、気合が入りすぎて自社商材の良い点を一方的にまくしたててしまう人がいますが、こういった対応に来場者は辟易しています。

 篠田さんのように、「どこか面白いブースはありましたか?」「あそこのブースは珍しい商材がありますよ」と質問や情報提供をしながら、対話するのがベターです。

 また、篠田さんは、客層に合わせたPOPを作ればよかった、と語っています。展示会においてPOPは非常に重要です。POPはセンスのあるおしゃれなものにするのもよいのですが、来場者のアイキャッチのためのツールと割り切るのもひとつの方法です。

展示ブース(清永さん提供)

 上記のようにすることで、遠くからもよく見えますし、キーワードをフックに会話のきっかけをつくることが可能になります。

 DekiTechさんの屋外ブース設営は、強風対応やペグの打ち込みなど、私自身とても勉強になりました。

「GO OUT CAMP」での展示経験をグラレコに描いたDekiTech(眞鍋玲さん作)

 眞鍋さんが作成した「あってよかったイラスト」はキャンプ場などで開催する屋外展示会の出展者さんの必携ツールになると思います。

 これは、私の想像なのですが、おそらく、DekiTecさんの商材は、来場者だけでなく、出展者さんにも売れたのではないかと思います。展示会では、来場者対応に集中しがちですが、出展者の中にも、自社商材に興味を持つ方はいます。空き時間に他の出展者にあいさつ回りをするなど、出展者さんとも積極的に交流することもお勧めします。

乗富鉄工所がFIELDSTYLE SEASIDE MARKET 2022に出展したときのレイアウト(写真はいずれも同社提供)

 乗富鉄工所さんが「焚火台は知ってるよ」とスルーされそうになるところを、「これはちょっと違うんです」と実演し、興味喚起された点がとても素晴らしいと感じました。

 さらに、実演する際に、ヘッドセットマイクとスピーカーを利用すると一層効果的になります。実演の際の来場者との会話のやりとりをマイクとスピーカーを使って、大きな声で伝えるのです。会場はたくさんの人がいて、出展者が説明する声が聞きとりにくいケースが多いです。高齢で耳が遠い人が来ているかもしれません。

 マイクとスピーカーを活用する本当の利点は、ある特定の来場者との会話を、遠巻きに見ている他の来場者にも伝えることができることです。

 来場者との会話は、他の人にとって、そのまま自然なプレゼンテーションになります。自然なプレゼンテーションが大きな音で聞こえてくれば、気になってブースに近づいてきてくれます。このようにしてブースに盛り上がり感を醸成するのがお勧めです。

otoの展示ブースと島口さん。展示ブースのワンポイントは植物。

 シマワさんが、「創業35年目にして初めて一般消費者向けの商品化」し、その販路として展示会を活用した点が、とても素晴らしいと感じました。切削、鍛造、鋳造など技術を売っている会社は、その優れた技術で一般の消費者向け商品をつくれないだろうかと発想してみてほしいと思います。

 また、ポスター、販促物、商品企画書、パッケージ、ディスプレイを展示会に向けて作成したとのことですが、これらに加えて、展示会専用の名刺をつくると、さらによかったのではないかと感じます。チラシやノベルティなどは、多くの場合、展示会場の出口にあるごみ箱に捨てられてしまいます。(だから展示会場のごみ箱は大きいのではないかと、個人的には思っています)

 せっかくつくったのに捨てられてしまってはもったいないです。

 名刺なら人は簡単には捨てません。だから、展示会専用名刺(という名の2つ折り名刺サイズのチラシ)をつくるのです。展示会専用名刺の例として、私の名刺を掲載しておきます。次の出展の際のご参考にしてみてください。

清永さんの展示会専用名刺

 常磐精工さんの記事には、「既存客に、事前にメルマガやDMで案内を出した」とありました。これは、とても素晴らしい取り組みです。

 以前は取引があったけれど今は付き合いがなくなってしまった休眠客や、数年前に案件商談がいいところまで進んだけれど急に連絡が取れなくなってしまった塩漬け客がいますよね。

 こうした客に、何のきっかけもなく、再びアプローチするのは非常にむずかしいものです。しかし、「展示会に出ます。見どころのある展示会ですし、よろしければご来場ください」というご案内なら比較的容易にできるはずです。展示会を休眠客、塩漬け客の掘り起こしのきっかけとして活用してほしいと思います。

常磐精工のキッチンカー向けの新商品「コンパクトサイン」

 常磐精工さんは、重点商材である「キッチンカー向けスタンド看板」を既に採用いただいている顧客にインタビューした「顧客の声チラシ」を用意すると、さらによかったと感じます。

 スタンド看板をなぜ採用しようと思ったか、購入する時に悩んだポイント、常盤精工さんに決めた理由、採用前とくらべてよくなったこと、などを、実際の顧客に生々しく語ってもらったチラシを用意することで、説得力のある訴求ができるようになります。

 インタビューの後編「失敗しないための展示会とは 欠かせぬ出展先選びとコンセプト固め」では、展示会に出る前にどんな準備をすれば良いか、コロナ禍での集客のコツについて聞きました。